2023.11.23 解答に誤りがあったため修正
読者様から解答のミスに御指摘を頂きました。
ありがとう御座います。
さて、中学受験算数で頻出の不定方程式を合同式を用いて解く方法の御紹介です。
不定方程式を合同式で解く
中学受験では条件整理をした結果、以下のような不定方程式が登場する場合があります。
13X + 7Y = 186
これを満たす正の整数 XとYの組を求めよ。
これを合同式で解く手法の御紹介です。
まずはXかYどちらかの係数で割りましょう。今回はXの係数である13で割ります。
合同式の和の法則より
13X を13で割った余り + 7Y を13で割った余り = 186 を13で割った余り
になります。
よって
13X≡0 (mod13)
186≡4 (mod13)
となり、そこから
7Y≡4 (mod13)
という事が分かります。
合同式の積の法則より 両辺を2倍します。
14Y≡8 (mod13)
ここで、以下の合同式を利用します。
13Y≡0 (mod13)
合同式の差の法則より
14Y-13Y ≡ 8-0 (mod13)
Y≡8 (mod13)
※このようにYの前の係数を消してあげるのがポイントです。
よってYを 13 で割れば余りが 8 という事が分かります。
Y=13k + 8 (kは0以上の整数)
よって Yの候補としては 8、21、34、47・・・・です。
13X + 7Y =186 ですから
Y=8の時
13X + 7×8 = 186
X=10
Y=21の時
13X + 7×21=186
X=3
Y=34以上の場合、条件を満たさないため不適
よって解答は
【X=10、Y=8】
【X=3、Y=21】
となります。
この程度の小さい数でしたら合同式を使わなくとも簡単に解けますが、数が大きくなった時などでもシステマチックに解く事が出来ます。
例)
159X + 79Y =22924
79Y≡0 (mod79)
22924≡14(mod79)
159X≡14(mod79)
79X≡0(mod79)
79X×2≡0×2(mod79)
158X≡0(mod79)
159X-158X≡14-0(mod79)
X≡14(mod79)
よって
X=79k+14(kは0以上の整数)
候補は
14、93、172、251・・・・
172以上は
159×172=27348となり題意を満たさないため
X=14 Y=262・・・解答モレがあったため追記しました2023.11.22
X=93 Y=103
が解となる。
さて、kの条件に関して追記させて頂きます。(2023.11.22追記)
X≡14(mod79)
よって
X=79k+14(kは0以上の整数)
このように立式致しました。
式の意味としては
X≡14(mod79)
⇒Xを79で割った時の余りは常に14である。
という意味です。
よって
X=79k+14 (kの範囲はこの時点では未定)
という式が立式出来ます。
ただし、この時点では k の範囲は未定です。
kの範囲は初期条件によって変化しますから、初期条件に合致するkの範囲を検証する必要が御座います。
kの範囲に関する検証を忘れると、私が上でおかしたような解答モレのミスが発生しますので御注意下さい。
また、kの範囲が複雑になる事は大学受験レベルの場合は殆どないように思います。
例えば以下のような範囲を示す事は殆どないでしょう。
0≦k≦3、8≦k≦12
kは正の偶数 or 奇数
受験レベルの整数問題の場合
kは 0≦k≦8 の整数
このような範囲を示す事が殆どです。
そのため、kの範囲に関する検証に要する時間は少ないと考えて良いでしょう。
算数道場では?
算数道場では数学を使用する事を禁じておりませんから、このような不定方程式を合同式を使って解く方法も指導しております。
前回紹介した一橋大学の整数問題のように、合同式を用いれば簡単に解ける整数問題が難関大学でも良く出題されておりますから、高校数学演習で実施していますね。
大学受験数学、中学受験算数のどちらにおいても整数問題を解くにあたり以下のような手法が大変有効です。
- 因数分解の利用
- 合同式の利用
- 図示、不等式による範囲の絞り込み
このようなテクニックは大学受験でも大変使えるテクニックですし、整数に対する理解を深める上でも重要だと考えております。
丁寧に説明すれば、小中学生でも理解出来る内容だと考えております。
是非、親子で合同式をマスターして、難関大学や難関中学の整数問題を解いてみて下さいね!
こちらの書籍などもオススメです。
我が家の学習事例が少しでも家庭学習に取組む皆様の御参考になりましたら望外の喜びです。
ではまた!
コメント【コメント非公開、メールでの返信を御希望される方はその旨をご記入下さい】