さて、表題の件です。
恒例の整数問題です。
数学を学んでいる中学受験生ならギリギリ解けるかもしれません。
問題
以下 一橋大学2016年前期試験より引用
引用終わり
下の方に解答を記載しておきます。
解答
ちょっと指数部分が読みにくいかと思いますが御了承願います。
6×3^(3x) = 6×27^(x)
7×5^(2x) = 7×25^(x)
27^(x)の方が25^(x)より発散速度が速そうだから、そこから絞り込めそうだな・・・・
このように考えると良いでしょう。
具体的に実験してみます。
X=0 のとき
6×1+1=7×1
よって等式は成立する。
X=1のとき
6・27^1 +1 =163
7・25^1=175
X=2のとき
6・27^2+1 =4375
7・25^2=4375
よって等式は成立する。
X=3以上で逆転しそうだな・・・・
X=3のとき
6・27^3+1 =118099
7・25^3=109375
あとはX≧3の時に必ず 左辺≧右辺である事を示せばOKだな・・・・
帰納法で示すのが最もオーソドックスであるように思います。
X = k (k≧3)のとき 左辺>右辺 であると仮定する。
k=3の時は上の実験により仮定は成立する。
6×3^(3k)+1 > 7×5^(2k)
X=k+1 の時との差を考える。
6×3^(3(k+1))+1 – 7×5^(2(k+1))
=27×6×3^(3k)+1 – 25×7×5^(2k)
>27(7×5^(2k) – 1) + 1 – 25 – 7×5^(2k)
=14×5^(2k) – 26
≧14・5^(6) – 26 (∵k≧3)
>0
となり 仮定は成立する。
よって3以上の整数 X に対しては
6×3^(3X)+1 > 7×5^(2X)
となる。
よってX≧3の時に
6×3^(3k)+1 = 7×5^(2k) が成立する事はない。
以上の事から題意を満たす整数は X=0,X=2
以上
別解
別解としては例えば
27/25^(X) =7/6 – (1/(6×25^X)) の形に変形し、
27/25=1.08
1.08^(X)・・・・単調増加
7/6=1.1666… ‥‥右辺の最大値
1.08^(0) = 1
1.08^(1) = 1.08
1.08^(2) =1.1664
1.08^(3) =1.259712
左辺は単調増加のため、X≧3の範囲で等式が成立する事はない
という事をグラフあるいは数式で明示しても良いでしょう。
他にも上手く式変形をして処理する方法もありますが、帰納法が最も分かり易いかと思います。
あとがき
さて、指数の意味さえ理解していれば中学受験生でも解けそうな問題です。
この問題は算数と数学の違いが良く分かる問題です。
算数では実験をして 答えが 0と2である事を示せば終わり。
算数好きの中学受験生であれば『単調増加』という言葉は知らなくても、『何となく増加し続けそうだな・・・』と理解出来るはずです。
一方、数学では帰納法等を用いて、X≧3の範囲で等式が成立しない事を証明する必要があります。
この点が受験算数と高校数学における整数問題の相違点ですね。
灘中学などの算数の問題はこのような大学受験の整数問題をモチーフにして算数に落とし込んだ問題が多いように思います。
数学的な正しさを証明するためには、全射,単射,全単射などの定義や各種証明法の理解が必要になります。
このような『数学的な作法』を小学生の子供達に学ばせるのは意外とハードルが高いものです。
ここが数学を学ぶ壁になっているように思います。
ただ実際のところ、本記事のような高校数学レベルの整数問題の場合、「それはそうなるよね。証明するまでもなく当たり前だよね」というレベルの内容も多くあります。
灘中学の算数は
「この辺りの数学的な正しさはひとまず置いておいて、現象,原理原則の理解をしながら数字の面白さを学ぼうよ」
という意思が感じられます。
子供達にはこのような算数を通じて数字に親しみ、今後より重要になるであろうプログラミングスキルや統計処理スキルを身に付けていって欲しいものです。
以前に書いた記事では受験算数は直接的に仕事やプログラミングに役立つ事は少ないと述べております。
一方で数学的な考え方の基礎や論理的思考力を身に付けられるという点では大変有用です。
算数道場ではこれからも受験算数の指導にあたっては、このような能力の習得を重視して進めて参りたいと考えております。
そのため、テストの得点テクニック習得は重視しておりません。
算数/数学の楽しさやそれを活用した工学,理学について学び、興味を持ち、楽しんで欲しいと考えております。
子供達にいきなり
「その規則はずっと続くの?証明出来る?」
なんて声掛けをするよりは
「おお~面白い法則を見つけたね!それってずっと続くかな?他にもそんな性質の数式はあるかな?」
このような声掛けをして、子供達に数字遊びを楽しんで欲しいものです。
数学を一通り学んだ後に取組む学問としては機械工学と統計 が非常に実戦的でオススメ出来ます。
機械設計は言わずもがな、統計的なデータ処理で色々な物事を分析するのは楽しいものです。
子供達と共に学び、これからも研鑽を続けていきたいと思います。
さて、某大学の研究室にお邪魔して参りました。
知人の教授自ら教鞭を取って頂き、何とも贅沢な時間を過ごさせて頂きました。
**大学の研究室面白かった!
あそこで僕も**の研究がしたい!!!!!!
Musukoも大変楽しかったようです。
こうやって少しずつ色々な事に興味を持つきっかけを与えてあげたいものです。
我が家の学習事例が少しでも家庭学習に取組む皆様の御参考になりましたら望外の喜びです。
ではまた!
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