さて、表題の件です。
本記事では特殊算と数学の関係性について記載してみようと思います。
読者様から問い合わせがあった内容に関するアンサー記事です。
短時間で書いたため、誤記等があるやもしれませんが、後日修正予定です。
はじめに
中学受験算数を特別視している方が多くいらっしゃるかもしれませんが、特段数学とやっている事は変わりません。
『どうすれば効率良く処理出来るか?』
を考える事に特化したものが受験算数、一般化し汎用性を高めたものが数学的である と言っても良いでしょうか。
しかしながら数学の世界でも『どうしたら効率良く処理出来るか?』を考える事は重要ですから、数学は何も工夫をしなくて良い訳ではありません。
誤解の無いように言いますが、当然数学の方が受験算数よりも圧倒的に工夫が凝らされたものです。
数学者達の弛まぬ研鑽により磨き続けてきたものですからね。
さて、では受験算数(特殊算)というものは、どういった工夫を凝らしているのかを見てみましょう。
消去算
りんごを3個、みかんを5個買うと490円です。
りんごを4個、みかんを3個買うと470円です。
りんごとみかんは1個あたり何円でしょう。
■消去算
3りんご+5みかん=490円
4りんご+ 3みかん=470円
これは分かり易く、数学で言うところの連立方程式そのものです。
X,Yなどの記号を使わないだけで同じものです。
9りんご+15みかん=490×3=1470
20りんご+15みかん=470×5=2350
11りんご=880円
1りんご=80円
1みかん=50円
つるかめ算①
算数的解法(特殊算)
つるとかめが合計で100匹います。
足の数の合計が280本の時、つるとかめはそれぞれ何匹でしょう?
つるは足が2本
かめは足が4本
かめが一匹増える毎に足が2本ずつ増えます。
全部つるだったとしたら・・・・?
と考えると つる×100匹=足200本
つる99匹 + かめ1匹 だと 99×2本+1×4本=202本
かめが1匹増える毎に2本ずつ増えています。
問題は280本ですから、全部つるだと仮定すると 280-200=80で80本足りません。
足りない分がかめですから、80÷2=40
よって かめは40匹 つるは60匹 となります。
数学的解法①
つるをX匹 かめをY匹とすれば
X+Y=100
2X+4Y=280
連立して
2Y=80
Y=40
X=60
よって かめは40匹 つるは60匹
数学的解法②
こちらが本筋です。
特殊算であろうと、数学であろうと、『効率良く計算するためには?』と考える事は同じです。
つるをX匹 かめをY匹とすれば
全部つるの場合
200本
かめが増えれば2本ずつ増えるのだから
200+2Y=280 という式が立てられます。
よって Y=40、X=60

これが代表例ですが、数学と受験算数に明確な区切りはありません。
数学で効率良く計算するための式を立てれば特殊算風になります。



よって受験算数を通じて『効率良く計算するための手法や考え方を学ぶ』というのが受験算数の学び方の本質だと考えています。
つるかめ算②
A問題は5点、B問題は10点、C問題は12点のテストを実施した。
8問に正解し得点は合計69点でした。
A問題とB問題の正答数は同じだった。C問題は何題解けたでしょう?
算数的解法
「面積図を書いて下部分を取り除きましょう」という手法が一般的でしょう。


8×5=40点 を合計点である69点から取り除きます。
69-40=29点
下部を取り除いた事でB問題とC問題の得点は以下のように変化します。
B問題:10点⇒5点
C問題:12点⇒7点
5点と7点を使って29点を作れば良い。
あとは数字を当てはめて計算してみれば ・・・
5×3+7×2=29点 となる事が分かる。
よって
A問題3問
B問題3問
C問題2問
C問題は2問正解した が解となります。
数学的解法
AとBの正答数をX Cの正答数をYとすれば以下の式が成り立ちます。
5X + 10X +12Y =69
15X + 12Y = 69
両辺を3で割ると
5X +4Y = 23
適当な数字を代入し
X=3 Y=2
数が大きい場合などは ユークリッドの互除法を使う方法が一般的でしょうか。
XYの係数が互いに素かどうかが重要です。
いもづる算
Aは1個83円、Bは1個130円、Cは1個200円です。
いくつかずつ購入すると合計金額は4249円になりました。
Aの個数がCの個数の11倍であるとき、Bを何個購入したか答えなさい。
算数的解法
合計金額が4249円です。1の位に注目します。
1の位の数字が9です。BとCでは1の位の9を作れません。
よってAで1の位の9を作ります。
Aの1の位が3ですから
3×3=9しかなさそうです。
またAはCの11倍という事から11の倍数です。
すると Aは3×11に限定されます。
ゆえに Aは33個、Cは3個
4249-(83×33)-(200×3)=910
910/130=7
よってB=7個
数学的解法
Cの個数をX Bの個数をYとします。
Aの個数は条件より11X
83×11X+130Y + 200X =4249
1113X+130Y=4249
1の位を見ればXは3以外ありえません。
ゆえにX=3,Y=7
とくに数学と受験算数で考え方も手法も変わらないように思います。
弁償算
つるかめ算と殆ど同じです。
勝利すると5点、負けると-3点、10戦して18点あった場合、何勝何敗ですか?
全勝すると50点、負ける毎に-5-3= -8点
勝ちをX 負けをYとすれば
50-8Y=18
X+Y=10
Y=4
X=6
よって6勝4敗
特殊算の計算の流れで数学的に処理するだけです。
てんびん算(濃度算)
4%100gの食塩水と7%で200gの食塩水を混ぜると何%の食塩水になるでしょうか?
てんびん算とは以下のような図を書いてシステマチックに答えを求める手法です。
比を用いて計算処理するため、面倒な食塩量の算出をする事無く、簡単に濃度を求める事が可能です。


さて、これはどのような仕組みなのでしょうか?
100gと200g の質量比は1:2です。
濃度の比は4:7です。
食塩の量は 質量と濃度をかけたものですから
食塩の質量比は 4×1:7×2=4:14になります。
これを質量で割ったものが濃度ですから
食塩の質量合計は4+14=18
食塩水の質量合計は1+2=3
よって食塩水の濃度は18/3=6
よって6%
数学的解法
混ぜ合わせた後の食塩水の濃度をX%とおく。
質量比は1:2
濃度比は4:7
混ぜ合わせた物の濃度は
X=(1×4+2×7)/(1+2)=6
ゆえに6%
とまぁ、文字式を導入しただけで殆ど同じです。
比で工夫して計算処理しているだけですからね。
平均算
テストを数回受けたところ1~10回目までの平均点が70点
残りのテストの平均点は90点
全てのテストの平均点は80点でした。
テストは合計で何回受けたでしょう?
算数的解法
割愛しますが、面積図を使う方法を指導する塾が多いでしょう。
予習シリーズでも面積図を使う方法で解説されている事が多いです。
数学的解法
テストを受けた合計回数をXとする。
全てのテストの合計点は 80X
1~10回目の合計点は700点
10回目以降のテストの合計点は 90×(X-10)
よって
80X=700+90X-900
200=10X
X=20
よってテストは20回受けた。
指導する際は面積図を書く事もありますが、目的は正しく、効率良く計算出来るように立式する事です。
面積図を上手に書く訓練をする事は特になく、正しく問題文の意味を理解し、立式出来ていれば良いでしょう。
和差算
カードが10枚あります。
カードの片方の面には1,3,5,7,9,11,13,15,17,19 の奇数が書かれています。
もう片方の面には偶数が書かれており、裏表の数を足すと21になります。
例)19のカードの裏側は2
1)今10枚のカードを並べたところ、表側の数の合計は115でした。
カードを1枚ひっくり返すと130になりました。
ひっくり返したカードの表と裏の数字を答えなさい。
算数的解法
裏表を足すと21、ひっくり返すと15増えたので差が15
線分図を書くと‥‥


よって答えは3,18
数学的解法
表の数をX、裏の数をYとする。
X+Y=21
YーX=15
連立して 2X=6、X=3
よって 3、18
線分図を書かないだけで、やっている事は同じです。
和差算は難関中学では不定方程式と良くからませてきます。
不定方程式が出てきたタイミングで 不定方程式の解法、例えばユークリッドの互除法などを教えています。
特殊解を見つけ、 X=2k+3 (kは整数)などのように解を見つける手法も教えます。
つづく
さて、少々忙しいため本日はここまで。
また後日加筆修正致します。



基本的に算数 or 数学 と明確に区分けしていません。
効率良く計算するために考え、立式するという手法を採用しています。



算数の問題と明確に区分けしている点としては
算数は厳密性が低くても答えがあっていれば良い というものです。
数学はそれが全ての整数において正しいか?といった厳密性を問うため、一般化が重要になります。



算数道場における、中学受験算数の学習目的は予習シリーズなどから『効率良く計算する手法や考え方』を学び取り、それを数学的にきっちりと立式し、解く力を養う事です。



灘中学などの問題は 大学入試レベルの内容を算数でも解けるように落とし込んだものが多くみられます。
この場合においては、大学入試レベルで必要な内容もあわせて指導しています。
例えば一般項の求め方や漸化式の立て方などです。



このように明確に受験算数 or 数学を区分けせず、楽しく自由に学んでいるという感じです。
我が家の学習事例が少しでも家庭学習に取組む皆様の御参考になりましたら望外の喜びです。
ではまた!
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