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【MUSUCOLUMN】鉄の熱処理ってなんだろう?

2023.11.26 分かりにくいところを色々修正しました Musuko
2023.11.27 一覧表を追加しました Musuko

Musuko

久しぶりにコラムを書いてみました!

Musuko

頑張って沢山図を書いてみました。

Sharari-man

差別的発言などがあってはいけませんから Sharari-man が校正しておりますが基本的にはMusukoが執筆した文章です。
多少不正確な部分もありますが、息子の学習を兼ねた記事ですので御了承下さい。

目次

鉄の熱処理って何だろう?

熱処理は鉄の性質を変化させるために、金属に温度変化を与えて組織を変える事です。

熱処理の目的は以下の通りです。

  • 引張強さを高くして、壊れにくくするため
  • 表面を硬くして傷つきにくくするため
  • 組成を安定させて経年変化の発生を抑えるため

例えば自動車で使われている金属は衝撃的な力が加わった時にすぐに破壊しない事が大事です。

Musuko

自動車のボディがガラスみたいな割れやすい物質で作られていると危険だよね。

Musuko

自動車のボディは力が加わっても、割れずに伸びて変形する事で急激に破壊しない粘り強さが必要だよね。

Musuko

こういった性質の事を 延性(えんせい) と言うよ。

Musuko

逆にガラスのように伸びずに急に割れたりする性質の事を 脆性(ぜいせい)と言うよ。

Musuko

基本的には 硬い金属ほど脆性になり、柔らかい金属ほど延性になるよ。
例えば1000番台の純アルミは柔らかい延性の材料だよ。

鉄の組織変化

純鉄は 最初はフェライトという組織で出来ていて、体心立方格子という結晶構造です。

Musuko

下の画像が体心立方格子という結晶構造だよ
立方体の頂点に鉄原子がそれぞれ配置されていて、立方体の中心に1つ配置されています。
合計で9個の原子が配置されています。
※正式な数え方だと2個です。下の方に図があります。

鉄は 一般的な気温の範囲だとこのような 【フェライト】 という組織構造です。

【フェライト】組織の鉄を 910度以上に加熱すると 【オーステナイト】という組織に変化します。

【オーステナイト】になると 面心立方格子という組織構造に変化します。

Musuko

下の画像が面心立方格子という結晶構造だよ
立方体の頂点に鉄原子がそれぞれ配置されていて、立方体の各面の中心に1個ずつ配置されています。。
合計で14個の原子が配置されています。
※正式な数え方だと4個です。下の方に図があります。

その後に1400度以上に加熱すると【フェライト:デルタフェライトともいう】という組織にまた戻ります。

【オーステナイト】の方が原子の数が多くてぎっしり詰まっているように思うかもしれないけれど、実際はオーステナイトの方が原子間のすき間(空隙といいます)が大きくて炭素などの合金成分が入りやすいようになっています。
空隙:くうげき と読みます。

勘違いするといけないので補足します。

オーステナイトの方が原子の数が多くなっているので、立方体の体積に原子が占める割合(充填率)はオーステナイトの方が少し高くなっています。
フェライトは約68%、オーステナイトは約74%と言われています。
充填率は高いのだけど、配列が違うため、スキマはオーステナイトの方が大きくなっているという事です。

Musuko

原子の数だけど
9個、14個というのは少し正確ではありません。
頂点にある原子は1/8個
面の中心にある原子は1/2個
と数えます。
だから
体心立方格子は原子2個
面心立方格子は原子4個
になります。

Musuko

分かり易い絵を作っておきました!



フェライト ⇒ 約910度 ⇒ オーステナイト ⇒ 約1400度 ⇒ デルタフェライト
この組織が変わる温度の事を 変態点 と言います。

Musuko

金属の熱処理というのはこの変態点温度まで加熱した時の組織変化を利用しているんだよ。

基本的な熱処理の一覧表

熱処理にはここに書いたもの以外にも色々なものがあります。鉄だけでなくアルミなどにも熱処理があります。

ここでは鉄に関する基本的な熱処理の一覧表を書きます。

名称方法目的
焼き入れ変態点(910度)以上に加熱した後に水、油などにつけて急冷する鉄を硬く、強くする事
焼き戻し変態点(910度)以下に加熱した後にゆっくり冷やす(主に空冷)焼き入れした硬くて脆い鉄を所要の硬さ、強さに調整する事
焼きなまし変態点(910度)以上に加熱した後に、加熱炉で放置して冷やす鉄の歪を取り除き、柔らかく、加工しやすい状態にする事
焼きならし変態点(910度)以上に加熱した後にゆっくり冷やす(主に空冷)鉄の歪を取り除き、組織を均一にする事

熱処理

【フェライト】から【オーステナイト】に変化した時に空隙(スキマの事)が大きくなります。

Musuko

図を書いてみました。
体心立方格子の方が立方体の体積が小さくて、原子同士の間隔が狭くて
面心立方格子の方が立方体の体積が大きくて、原子同士の間隔が広くなっています。

焼入れ

熱処理は上に書いたような組織変化を利用して行われるよ。

Musuko

頑張って炭素ちゃんの絵を書いてみました!
分かり易いかな?

この図みたいに炭素が鉄原子のスキマを埋めるように溶け込んでいきます。

この溶け込める量の事を【炭素固溶限】と言います。

体心立方格子と面心立方格子ではおおよそ100倍くらい【炭素固溶限】が違うと言われています。

【焼き入れ】はこのように加熱した後に急冷します。

加熱⇒冷却 までがセットです。

真ん中の絵では炭素が詰まった事が分かりやすいように面心立方格子のような書いていますが、マルテンサイトは右端の絵のように体心立方格子です。炭素が沢山溶け込んでいるため、縦長で歪んだ立方体になっています。

炭素はとっても硬いので、炭素がギチギチに詰まったマルテンサイト組織はとても硬くなります。

マルテンサイトはとっても硬いのだけど、脆性が強く出て、割れやすくなるという問題があります。
ギチギチに詰まっていて、結晶構造が歪んでいるのも脆性が強く出る原因です。

その脆性を解決するための方法が【焼き戻し】です。

焼き戻し

焼き戻しは高温焼き戻しと低温焼き戻しの2種類の方法があります。

焼き戻しは変態点(約910度)以下の温度に加熱した後にゆっくり冷やす事です。

高温焼き戻し(650度くらい):低温焼き戻しより柔らかくて粘り強い
低温焼き戻し(200度くらい):高温焼き戻しより硬い

Musuko

焼き戻しをすると歪んでいた結晶構造がきれいな形になって
ギチギチに詰まっていた炭素ちゃんがセメタイトちゃんに変わって、出て行ってくれるよ。

Musuko

硬さと脆性と延性は焼き戻しの温度で調整出来るんだよ。

焼きなまし

焼きなましの目的は 鉄の歪みをとりのぞいたり、柔らかくすることです。

柔らかくすると削ったりするのが簡単になります。

あとは歪んでいた鉄の歪みがなくなるので経年変化(けいねんへんか)しなくなります。

経年変化:歪みの残っている鉄は時間がたつと少しずつ変形します。

焼きならし

焼きならしの目的は歪みをとりのぞいて、鉄を元々もっている強さにする事です。

焼きなましに比べると少し強いくらいです。

Musuko

英語だとノーマライジング(普通に戻す)と言うそうです。

体積の変化

鉄を加熱していくと体積(長さ、大きさ)は下のように変化します。

体積は体心立方格子よりも面心立方格子の方が大きく、また、一つ結晶構造に使っている原子の数は面心の方が多くなっています。

面心の方が一つの粒子に使われている原子の数が多い(充填率が高い)ので鉄全体としてみると体積が減るという事です。

Musuko

一つの立方格子サイズは面心が大きいけれど、立方格子の総数が減るので全体としては体積が小さくなるという事です。

体積は 
立方格子×1.838 = 面心格子
原子の数は
立方格子×2=面心格子

2/1.838≒1.088

なので、全体としては 1.088倍くらい体心の方が大きくなるという事です。

Musuko

分かりにくかったらごめんなさい・・・・

熱処理はとても役に立つ作業です

Musuko

上手く説明出来たかな?

Musuko

分かりにくかったらごめんなさい。

Musuko

熱処理は鉄の性質を自由に決める事が出来るからとっても役に立ちます。

硬い鉄:包丁、刀、工具、ベアリング
延性で引張強さが高い鉄:自動車のボディ、自転車のフレーム

Musuko

設計している時に「ここは硬い方が良いかな?」
と思ったら、硬く出来るのでとても便利です。

Musuko

僕はこの本を読んで勉強しました。
この記事で書いた事以外にも沢山の事が書いてあり、とても面白かったです。

Musuko

みんなも金属や熱処理に興味をもってくれるととても嬉しいです。
色々なものをみた時に
「この部品は傷つきにくくするために、低温焼き戻しをして硬くしてるのかな?」
「この部品は粘り強くするために高温焼き戻しをしているのかな?」
みたいに考えるのはとても楽しいです。

最後まで読んでくれてありがとう御座いました!

Sharari-manのあとがき

Sharari-man

さて、如何だったでしょうか?

Sharari-man

多少添削致しましたが殆ど原文のままです。
少しは国語力が向上したでしょうか?

熱処理に関してはやや正確性に欠ける点もありますが、概ねあっているため良しとしました。

小学生が書いている内容ですので御容赦頂けると幸いです。

Sharari-man

我が家では子供達が機械設計を通じて、様々な物事に興味を持てるように工夫しています。

Sharari-man

機械要素や材料についても学べる環境を整える事で、より深く興味をもってもらえます。

Sharari-man

今後も楽しく数学・物理を学習し、学んだ内容を実践で活かせるよう、楽しめるよう、工夫して参りたいと思います。

我が家の学習事例が少しでも家庭学習に取組む皆様の御参考になりましたら望外の喜びです。

ではまた!

御自由にシェアして頂けましたら!
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この記事を書いた人

日本で働く技術者です。
ブログ運営目的は我が家の学習情報提供を通じた社会貢献です。
地域貢献を兼ねて地域限定で算数の個別指導を行っています。

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コメント一覧 (4件)

  • Musuko様
    こんばんは。今回も勉強になる記事を有難うございます。分野違いですので新鮮です。今後もよろしくお願いします。
    今回、図があってとてもわかりやすかったです。鉄がどのように変化するのか、考えてもみなかったことがよく分かりました。今までは、温度が上がると延びる、位にしか理解しておりませんでした。質問をお願いします。
    •変態点で構造がかわるとのこと、まだ固体の状態ですので、910度で縮み、1400度で膨張する、という理解でよろしいでしょうか。他の物質でも良いので、日常的に遭遇する具体例があると有難いです。
    •変態点で構造が面心になり炭素が入ります。その後冷やして常温になっても面心のままなのでしょうか。また、焼きなまし、焼きならしをすると炭素がほとんど抜けてしまうような図でしたが、それでも常温に戻っても面心のままで体心にはならないのでしょうか。
    素人の質問で申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。

    • ぞうさん様
      Musukoです。
      いつも温かいコメントありがとうございます。

      見直してみると分かりにくいところが沢山あったのでなおしました!
      ごめんなさい。

      >変態点で構造がかわるとのこと、まだ固体の状態ですので、910度で縮み、1400度で膨張する、という理解でよろしいでしょうか。他の物質でも良いので、日常的に遭遇する具体例があると有難いです。

      変態点で体積がどうなるかを追記してみました。

      >変態点で構造が面心になり炭素が入ります。その後冷やして常温になっても面心のままなのでしょうか。また、焼きなまし、焼きならしをすると炭素がほとんど抜けてしまうような図でしたが、それでも常温に戻っても面心のままで体心にはならないのでしょうか。

      炭素が入ったあとに冷やすと体心に戻るのですが、炭素が沢山入った状態で体心に戻ります。
      炭素がのこる量は冷やし方で変わって、急冷すると沢山残ります(過飽和)
      ゆっくり冷やすと、炭素が抜けていきます。

      急冷して炭素が沢山残った状態がマルテンサイトという状態ですが、体心なんだけど、歪みが大きい状態になっているそうです。

      分かりにくかったらごめんなさい。
      文章を書くのがまだまだ苦手です。

      御質問ありがとうございました。

  • Musuko様
    こんばんは。早速教えて頂き有難うございました。だいぶ状況がわかってきました。
    体心→面心→炭素が入る→体心に戻り歪む
    の流れがよくわかりました。◯◯ちゃん、となっているのが親しみやすくとても良いと感じました。私も人に説明する機会が多いのですが、こどもでも分かるように説明する、ことを心がけております。
    新しい図も多くなり、視覚的にさらにわかりやすくなった点でとても良いと思いました。さらに欲を言えば、
    焼き戻し
    焼きなまし
    焼きならし
    という初めて耳にする言葉群に対し、ポイントとなる特長を対比的な表にして示していただけるとよりグレードアップすると感じました。
    大学生以上が学ぶ専門書を、こどもでも理解できるよう翻訳していただけると、興味を持つこどもたちがもっともっと増えてくるかもしれませんね。
    お時間があれば、次回も宜しくお願い致します。
    今回も有難うございました。

    • ぞうさん様
      こんばんは。Musukoです。
      いつも温かいコメントありがとう御座います。
      アドバイスありがとう御座います。
      一覧表を追加してみました。
      とても分かり易くなったような気がします!

      合金鋼の記事を書くのも面白いかな~と思っています。
      ステンレスは クロムが沢山含まれていて、クロムは鉄よりも酸素と結びつき易いから、鉄が酸化(錆び)する前に、クロムと結びついて、酸化被膜が表面に出来るから錆びない。
      クロムやモリブデンが添加されていると焼き入れ性が良くなる。
      などです。
      最近は化学の勉強も楽しくなってきました。
      また、父が先日、手術で使う鉗子を家で作っていました。銃のような形でトリガーを引くとものを掴めるような道具です。楽しそうに作っている父を見ると、やっぱり機械設計も楽しいなぁと思いました。

      何でも一生懸命やれば楽しいんだろうなぁと思っています。

      ブログの記事も大変ですが書き出すと楽しくなって沢山書いてしまいます。
      また、色々な記事を書いてみたいと思います。

      コメントありがとう御座いました。

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