2024.2.6 加筆修正 誤解を招きそうな表現を修正
さて、表題の件です。
受験シーズン真っ只中では御座います。
「何のために勉強しているんだっけ?」
このように考えるきっかけになれば、という思いで記事を書いてみます。
学歴とエンジニアに必要なスキルの関係
さて、上の記事でも似たような事を書いておりますが、Sharari-manは中学受験、高校受験、大学受験の合否に殆ど興味がありません。
中卒でとんでもなくレベルの高いエンジニアがいます。高卒でも同様です。
中卒、高卒、大卒、院卒、博士課程卒、なんてものはただの肩書です。
社会に出てエンジニアとして働けば皆肩書を外し、持てる人脈と自身の能力だけを頼りに開発をしています。
博士号持ちだけど、どうしようもなくモチベーション、スキルの低いエンジニアも入れば、中卒でSharari-manを遥かに凌駕するスキルの持ち主もいます。
当然ながら、その逆、つまり博士号持ちで凄まじいスキルの持ち主、中卒でスキルの低い方という場合もあります。
長年、開発現場で働いていて感じる事実としては以下のようです。
- 高学歴の方はスキルの高い方が多いが、皆がそうではない。
- 低学歴の方はスキルの低い方が多いが、皆がそうではない。
- Sharari-manが最も尊敬し、かつ過去出会った中で最も能力の高いエンジニアは高卒である。
- 現在働く職場では高卒の開発リーダーもいれば、博士号持ちの開発リーダーもいる。
- エンジニアに必要なのは体力、情熱、想像力、知識・経験・人脈・コミュニーケション能力である。
以上の事を鑑みると以下のような事が言えます。
- 学歴と必要なスキルに相関はあるが比例はしない。
- 受験勉強を通じて得られるのは体力・知識・人脈が主であり、エンジニアに必要な能力を包括していない。
さて、Sharari-manが長年エンジニアとして働いてきた中で感じとった事実は以上のようです。
他の記事でも色々と書いておりますが、受験勉強の内容はそもそもある職業に特化したものではありません。
エンジニア、医師、弁護士、農業、漁業など各職種に特化した内容は学びません。
いわゆる一般教養、リベラルアーツと呼ばれる類のものです。
さて、この一般教養・リベラルアーツと呼ばれる学問は将来就く職業に対して有効に働くのか?という議論が為されないまま、『素晴らしいものだ』と考えられているフシがあります。
全く理科を使わない職に就く予定だけど、何となく理科を学んでいる方が役に立ちそうだよね。
『このように何となく役に立ちそうだから』というだけで学んでいるものです。
開発現場で働く身としての実感は『殆どの場合、役に立たないが、たまに役に立つ』程度のものです。
- 社会(地理)は気候に影響を受ける機械の設計に役立つ
- 社会(歴史)は異国の方々と円滑にコミュニケーションを取るために役立つ
このように一見エンジニアが使わないように思える、『社会』という学問も『たまに』役に立ちます。
また、様々な知見を得る事で視野が広がるという点も良い点として挙げられます。
しかしながら、「どれくらい良いか?」は定量評価が為されていないのが実情ではないでしょうか。
それらとは比較にならないくらい役立つのは やはり 『数学・機械工学』です。
これらは職業に特化した学問とも言えますから、役に立って当然と言えば当然です。
医師にとって『医学』が、弁護士にとって『法学』が最も役に立つのと同様です。
さて、Sharari-manが何を主張したいかと申しますと
受験勉強の能力 ≠ 職業に必要な能力
という事を理解しておかなければならないという事です。
例えば『技術士』というエンジニア向けの国家資格があり私も所有しております。
この資格を所有している人が皆「優秀なエンジニア」では全くありません。
一定水準の知見を有している事を証明するための資格 と言えます。
そしてそれは上に述べたように『エンジニアとして必要な能力の一端』です。
全てではありません。これを勘違いしてはなりません。
同様に 難関中学、難関高校、難関大学に入るための受験勉強も
「将来就く職業に必要な能力の一端を身に付けるためのもの」
「将来たまに役に立つ事がある知識を身に付けるためのもの」
「将来たまに役に立つ事がある人脈を得るためのもの」
『視野を広げ、多角的に物事を観られるようになるためのもの』
このように考えておくと良いと考えております。
誤解が無いように念押しで説明をさせて頂きます。
リベラルアーツ、一般教養学習で視野を広げるのは良い事です。
しかし、それらは自身が持つ視野を広げ、多角的に物事を観るための助けになるだけです。
エンジニアは工学
医師は医学
弁護士は法学
それぞれの職に応じた最も重要な学問があります。
『やりたい事』が明確になれば、その『最も重要な学問』に注力する事が出来るという事です。
指導者のサポートすべき事は?
さて、Sharari-manは自身の特殊性を理解しております。
Sharari-manの持つ特殊性とは 中学生の頃から『やりたい事』が明確であったという点です。
中学生の頃から機械に親しみを持ち、『エンジニアになり社会の役に立ちたい』と考え、高校生の頃から機械工学を勉強して参りました。
高校生の頃は受験勉強は殆どせず、機械工学と機械の設計を延々と続けておりました。
そこから自由に機械の設計が出来る中堅大学に入り、ひたすらにひたむきに、機械の設計・開発・研究を行いました。
そして卒業し、社会に出てみると大変驚きました。
「あれ、新入社員って皆こんなに設計・開発が出来ないの?」
皆、驚くほど機械の事を知りません。設計経験もありません。
そりゃあそうです。高校生の頃から実践的な機械演習を続けて来た私とは能力の差があって当然です。
皆がSharari-manのように『やりたい事』が中学生の頃から決まっている訳ではない事は承知しております。
※本記事に登場する『やりたい事』とは「将来就きたい職、将来達成したい目的」といった意味合いです。
しかしながら
『やりたい事なんて後で探せば良いから、とにかく受験勉強をしなさい』
このような意見が『何故市民権を得ているのだろう?』と常々考えております。
『やりたい事をいつも探しながら、働く自分を想像しながら、汎用的な知見を得るために受験勉強をしていこう』
このような主張であれば理解出来ます。
Sharari-manは以下のようであると考えております。
『やりたい事』があるから『モチベーションが向上する』
『やりたい事』があるから『入りたい大学が決まる』
リベラルアーツを用いて『たまに役に立つ事』『視野を広げるための学問』を学ぶ事に異論はありません。
しかし、それが大人達が子供の「やりたい事」を見つけるためのサポートをしなくて良い理由にはなりません。
モチベーションの源泉は「やりたい事」「楽しい事」だと考えております。
算数道場では子供達の「やりたい!」「楽しい!」を刺激するため、様々な場所に課外学習へ行きます。
史跡、工場、オフィス、開発現場や大学の研究現場、スポーツ観戦などです。
彼らが将来働く可能性のある場所に連れて行きます。
子供達が『やりたい事を見つける』ためのサポートに尽力しています。
課外学習自体が楽しいという一面もありますけどね。
今日見学に行ったあの場所では 数学や理科がこのように使われているよ!
今学んでいる事がこのように使われているんだ。
このような話を良くします。
昨日書いたサイクリングに関しても同様です。
ロードバイクにはどんな数学・理科が使われていて、『速く走る』ためにどんな工夫がされているのかを子供達に分かる言葉で説明します。
強くて軽いCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を使って軽くしている。だから少ない力で加速できる。F=maだからね。
自転車に外部から働く「抵抗」は空気抵抗が大きいんだよ。
空気の抵抗を減らすために、ロードバイクは体を傾けた前傾姿勢になるように設計しているんだよ。
また、各部のパーツも正面からの風を受け流すような流線形をしているよ。
新幹線の1両目も同じだね。空気抵抗を小さくするために、あのような形をしているんだよ。
このような説明を必ず致します。
サイクリングってとっても楽しいよ!!
子供達がサイクリングを楽しいと思う。これって特殊性が高いと思いませんか?
だって昨日は走行距離が130kmですよ。時間にして約9時間です。
9時間もの間、自転車を漕ぎ続け、筋肉を酷使し、息を切らす事が『楽しい』のです。
- 食事を楽しむ
- 景色を楽しむ
- 会話を楽しむ
- 地域の方々との交流を楽しむ
このようにSharari-manが『楽しむための様々な仕掛け』をしているから『楽しい』のです。
『楽しませる技術』です。
- 学習カリキュラムの構築
- 教材の提供
- 課題管理
これらは指導者が当然サポートすべき業務です。
しかしながら
- 子供達が「やりたい事」を見つけるためのサポート
- 楽しませる、一緒に楽しむ
- 共にモチベーションを上げる・維持する
これらも指導者にとって重要な業務だと考えております。
ちなみにSharari-manは「業務」とは考えず、「一緒に楽しむ」事を重視しております。
一緒に楽しむ事が「彼らが楽しい」と思うかどうかの判断基準になり、次回の行動指針にも成り得るからです。
合否に興味が無い男
さて、ようやく本題です。
本題に入るまでが長かったのは要らぬ誤解を生みたくないからです。
受験勉強に対して一生懸命努力している子供達を応援しておりますし、それぞれが望む結果が出る事を願っております。
Sharari-manの主張は 上で述べた通り、『受験勉強で得られるのは職業に必要な能力の一端』であるという事です。
合格、不合格という結果は出ますが、合否の如何によって自身の持つ能力が変化する訳ではありません。
「受験勉強に取組んだ」 という経験が既に成長の糧になっているはずです。
合否に関わらず、受験後にやる事は
『やりたい事探し』と『やりたい事に必要な技術の習得』です。
人生まだまだ長いです。大学博士課程卒業まで大学に居ても、まだ人生半分も終わっていません。
人生を楽しみ、社会貢献をするためには『やりたい事探し』と『やりたい事に必要な技術の習得』が大変重要です。
子供達には受験の結果に過度に囚われず、前向き・後ろ向きになり過ぎず、将来を見据えて、人生を楽しむための研鑽を続けていって欲しいと考えております。
Sharari-manは 学習する理由とは、社会貢献をしながら面白可笑しく生きるため だと考えております。
難関中学、難関高校、難関大学に入学したからといってそれが達成出来る訳でありません。
受験で得られた能力を活用し、公益のために尽くし、そして人生を楽しんで頂ければと思います。
さて、以下の内容は補足説明となります。
さて、Sharari-manが合否に興味があるのは『業務独占資格』くらいです。
資格が無いと仕事が出来ないからです。
【医師】【弁護士】【建築士】などが挙げられます。
現実的に【難関大卒】が業務独占資格に近い場合もあります。
例えばゴールドマンサックスなどの外資系企業。
一部のベンチャーや大手企業などがそれにあたります。
一定以上の難関大学でなければ採用されないのが実情です。
このように、既に決まっている『やりたい事』をするための必須条件として、受験に合格しなければならない事があります。
このような場合は受験勉強に注力せざるを得ません。
特に医師は日本では医学部入学がほぼ必須条件ですから受験勉強を頑張らざるをえません。
例外はあるかもしれませんが、医学系以外は難関大学入学が必須の資格は殆どないように思います。
建築士などは実務経験で代替可能ですし、公認会計士などは大学入学不要です。
弁護士については特に難関大卒である必要はありません。
外資系企業や大手企業については以下のようです。
【難関大卒】が採用条件の企業は現実的には突破口があります。
別の企業に入り、業務で顕著な実績を挙げれば良いのです。
【業務で挙げた顕著な実績】は学歴や所有資格などを凌駕します。
例えばSharari-manは社内では仕事を選びたい放題です。
ある程度、「自分がやりたい」と思える仕事を選べますし、社外業務や講演会なども許されています。
これも、そのような活動をしながらでも、会社では顕著な実績を挙げているからです。
大手外資系や有名企業からヘッドハンティングも来ますし、その気があれば入社も可能でしょう。興味はありませんが(笑)
あとがき
さて、道場生も受験真っ只中です。
同様に受験に取組んでいる方々も大勢いらっしゃると思います。
今まで学び、研鑽して培った能力を皆様が最大限発揮出来るよう祈念しております。
「社会貢献をしながら面白可笑しく暮らす」ためには今後も継続的に研鑽が必要です。
親御様におかれましては、子供達が「やりたい事」を見つけるためのサポートをして頂けますようお願い申し上げます。
また、子供達は親や指導者のサポートに感謝し、更なる研鑽に励んで頂ければ。
そして、『やりたい事』を見つけ、立派な大人に成長した暁には次代の子供達のサポートをしてあげて下さいね。
Sharari-manも子供達の成長への投資を続けたいと思います。
皆様も是非、次代を担う子供達に金銭面・工数面での投資をして頂けますようお願い申し上げます。
我が家の学習事例が少しでも家庭学習に取組む皆様の御参考になりましたら望外の喜びです。
ではまた!
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