さて、久しぶりに大学入試数学を。
京都大学2021年文系と2022年の理系数学の1問です。
問題
【1】京都大学2021年 文系数学 大問5より引用
pが素数ならば p^4+14 は素数でないことを示せ.
引用終わり
【2】京都大学2022年 理系数学 大問3より引用
nを自然数とする。3つの整数 n^2+2、n^4+2、n^6+2の最大公約数Anを求めよ。
引用終わり
さて、京都大学らしい問題です。
是非、時間を見つけて解いてみて下さい。
Musukoや道場の6年生が解ける程度の難易度ですから頭の体操に丁度良いレベル感です。
【1】はかなり簡単ですが、色々な解き方が存在し楽しめる問題です。
Sharari-manの解答は後日掲載致します。
Sharari-manの解答
【1】
【思考の流れ】
証明するとすれば‥‥
①p^4+14が合成数である事を証明する
②特定の数で割り切れてしまう事実を証明する
あたりがパッと思いつきます。
とりあえず実験をしてみます。
p=2ならば 2^4+14=30
p=3ならば 3^4+14=95
p=5ならば 5^4+14=639
p=7ならば 7^4+14=2415
どうやら p=3以外は3の倍数になりそうだ‥‥
どうやら p=5以外は5の倍数になりそうだ‥‥
と考えます。
ここから、合同式あるいはフェルマーの小定理が使えそうだな‥‥とSharari-manは考えます。
【解法①】mod3で解く
p≡0 (mod3) ⇒ p^2≡0(mod3) ⇒p^4≡0(mod3)
p≡1 (mod3) ⇒ p^2≡1(mod3) ⇒p^4≡1(mod3)
p≡2 (mod3) ⇒ p^2≡1(mod3) ⇒p^4≡1(mod3)
また、p≡0(mod3) となる素数は p=3のみである。
p≠3の時
p^4+14≡1+2=0(mod3)
p^4+14は3の倍数であるから素数ではない。
p=3の時
p^4+14=81+14=95=5×19
p^4+14は素数ではない。
よって題意は示された。
【解法②】mod5で解く
mod3の時と同様の流れで解く事が出来ます。
p≡0 (mod5) ⇒ p^2≡0(mod5) ⇒p^4≡0(mod5)
p≡1 (mod5) ⇒ p^2≡1(mod5) ⇒p^4≡1(mod5)
p≡2 (mod5) ⇒ p^2≡-1(mod5) ⇒p^4≡1(mod5)
p≡3 (mod5) ⇒ p^2≡-1(mod5) ⇒p^4≡1(mod5)
p≡4 (mod5) ⇒ p^2≡1(mod5) ⇒p^4≡1(mod5)
ちなみに 法を5として p^2 が±1になる性質を ±1は法を5として平方剰余である と言います。
p≡0(mod5)となる素数はp=5のみである。
p≠5の時
p^4+14≡1+2=0(mod5)
p^4+14は5の倍数であるから素数ではない。
p=5の時
p^4+14=625+14=639=3^2×71
p^4+14は素数ではない。
よって題意は示された。
【解法③】フェルマーの小定理で解く
フェルマーの小定理とは以下のような定理です。
p が素数で,a が p の倍数でない正の整数のとき
a^(p-1) ≡ 1 (mod p)
数学オリンピックなどでも良く使われる定理です。
今回の問題に適用するための考え方として 無理やり(p-1)を作る という事が重要です。
p^4+14=p^(5-1)+14 と式変形します。
^(5-1)の5は素数でありp≠5の時、pは5の倍数ではない。
よってフェルマーの小定理より
p≠5の時
p^(5-1)≡1(mod5)
また、14≡4(mod5) であるから
p^(5-1)+14≡0(mod5)
となり p^4+14は素数ではない。
p=5の時
p^4+14=625+14=639=3^2×71
p^4+14は素数ではない。
よって題意は示された。
このフェルマーの小定理の使い方は割と色々なケースで使えますので覚えておいて損はありません。
【解法④】式変形で解く
p=3の時
p^4+14=81+14=95=5×19
p^4+14は素数ではない。
p=3以外の素数を 3n±1とおく(nは1以上の整数)
※3n±1は必ず素数にはならないが、3を超える素数を包括した整数である
p≠3の時
p^4+14= (3n±1)^4+14
=(3n±1)^2 * (3n±1)^2 +14
= (9n^2 ± 6n + 1) * (9n^2 ± 6n + 1)+14
= 81n^4 ± 108n^3 + 54n^2 ± 12n + 15
=3(27n^4+36n^3+18n^2+4n+5)
よってp^4+14は素数ではない
よって題意は示された。
3以外の素数を 3n±1と置く手法と式変形でも答えに辿り着けます。
【解法⑤】算数で解く
素数を並べてみる
2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, 29, 31, 37, 41, 43, 47, 53, 59, 61, 67, 71, 73, 79, 83, 89, 97
1の位が2の素数は2しかありません(偶数だから割り切れる)
1の位が5の素数は5しかありません(5で割り切れる)
1の位が0の素数はありません(5で割り切れる)
1の位が4、6、8の素数はありません(2で割り切れる)
その他の素数の1の位は1,3,7,9
p^4の1の位はpの1の位を4乗した数字の1の位になります。
だから
1^4=1
3^4=81
7^4=2401
9^4=6561
だから
2と5以外の素数の4乗は必ず1の位が1になる。
だから
p^4+14 の1の位は必ず5になり、5で割り切れるから素数ではありません。
あとは p=2、P=5の時を計算して確認します。
p=2ならば 2^4+14=30=2×3×5
p=5ならば 5^4+14=639=3^2×71
だから素数ではありません。
よって題意は示されました。
【解法⑥】 連続する偶数の性質に着目して解く
(p-3)(p-1)(p+1)(p+3)=p^4-10p^2+9 だから
p^4+14=(p-3)(p-1)(p+1)(p+3)+10p^2+5
p≧3 の素数とすると
p-3、p-1、p+1、p+3は連続する偶数である。
連続する偶数の1の位に注目する。
組合せとして考えられるのは
0、2、4、6 ⇒総積の1の位は0
2、4、6、8 ⇒総積の1の位は4
4、6、8、0 ⇒総積の1の位は0
6、8、0、2 ⇒総積の1の位は0
8、0、2、4 ⇒総積の1の位は0
の5通り。
p-3、p-1、p+1、p+3 の1の位が 2、4、6、8の組み合わせになるためには (p-3)の1の位が2でなければならない。
つまり pの1の位が5でなければならない。
そのような素数pは p=5以外にない。
p≠2、p≠5の時
(p-3)(p-1)(p+1)(p+3)の1の位は必ず0になる。
10p^2の1の位は必ず0になる。
よって
p^4+14=(p-3)(p-1)(p+1)(p+3)+10p^2+5
の1の位は必ず5になる。
またp^4+14>5であるから p^4+14は素数ではない。
p=2の時
p^4+14=16+14=30=2×3×5
p^4+14は素数ではない。
p=5の時
p^4+14=625+14=639=3^2×71
p^4+14は素数ではない。
よって題意は示された。
【1】の感想
さて、6パターンほど解法を提示してみました。
如何でしょうか?
シンプルで簡単な問題ですが、このように様々な解き方をしてみる事で理解が深まると考えています。
是非、皆様も『解けた!』と喜ぶだけでなく、『他に面白い方法はないかな?』という探求心を持って問題に取り組んでみて頂けましたら。
【2】の解答は後日掲載。ちょっと忙しいため,、少し遅くなるかもしれません。
我が家の学習事例が少しでも家庭学習に取組む皆様の御参考になりましたら望外の喜びです。
ではまた!
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