さて、引き続き整数問題です。
2025年の数学オリンピック予選の一問です。
難易度は東大,京大入試レベルでしょうか。
上手くやれば難関中学志望の受験生でも解ける気がします。
理詰め、実験作業のバランスが丁度良い良問です。
問題
第35回 日本数学オリンピック予選問題 大問4より引用
1 以上 1000 以下の整数であって, 2, 3, 4, 5, 6 それぞれで割った余りがどの 2 つも異なるようなものはいくつあるか.
引用終わり
Sharari-man解答
下の方に掲載
【ここから解答です】
さて、まずは題意を汲み取るところから。
『どの2つも異なる』という事ですから
例えば以下の状態です。該当する数をnとおくと
n≡1(mod2)
n≡2(mod3)
n≡3(mod4)
n≡4(mod5)
n≡5(mod6)
果たして、このような条件を満たす数が存在しますか?
という問題です。
さて、このような問題の場合、選択肢が少ない数から絞り込んでいくのが定石です。
つまり mod2 です。≡0 or ≡1しかありませんからね。
ここで落ち着いて条件整理をします。
【n≡0 (mod2) ならば?】
nは偶数である
mod3は 0 or 1 or 2 だが 0は使えないため1 or 2。しかし、mod4の制約のため1しか使えない
mod4はnが偶数だから 0 or 2 だが 0が使えないため 2しか使えない
mod5は0 or 1 or 2 or 3 or 4 だが 0,1,2,4は他のmodで使うため3しか使えない
mod6はnが偶数だから 0 or 2 or 4 だが 0と2はそれぞれ mod2とmod4で使うため使えず、4しか使えない
【n≡1(mod2)ならば?】
nは奇数である
mod3は0 or 1 or 2だが 1は使えないため 0 or 2 だが 0の場合 mod6の時≡5となる数が無いため2しか使えない
mod4はnが奇数だから 1 or 3 しか使えないが 1が使えないため3しか使えない
mod5は0 or 1 or 2 or 3 or 4だが 1、2、3は他のmodで使うため 0 or 4しか使えない
mod6はnが奇数だから 1 or 3 or 5しか使えないが1と3が使えないため5しか使えない
さて、以上の分析結果をまとめると
n≡0(mod2)のパターンは次の1通りのみ
n≡0(mod2)、n≡1(mod3)、n≡2(mod4)、n≡3(mod5)、n≡4(mod6)
n≡1(mod2)のパターンは次の2通りのみ
n≡1(mod2)、n≡2(mod3)、n≡3(mod4)、n≡0(mod5)、n≡5(mod6)
n≡1(mod2)、n≡2(mod3)、n≡3(mod4)、n≡4(mod5)、n≡5(mod6)
ここで2,3,4,5,6の最小公倍数は 60ですから 60周期でこのような整数が現れます。
よって n=60m+k
という形になるはずです。
※mとkは0以上の整数
kの求め方ですが、色々考えるよりも mod6とmod5で絞り込みmod4で弾く方法が早いでしょう。
なぜ、mod5かと言うと、計算が楽だからです。
n≡4(mod6)の数字を60あたりまで並べてみます。
4,10,16,22,28,34,40,46,52,58,64
このうち5で割って3余る数は 28と58のみです。
しかし、28はmod4の条件に反します。
一応確認すると
58≡0(mod2)、58≡1(mod3)、58≡2(mod4) となり条件に合致しています。
よって
n=60m+58‥‥①
同様に
n≡5(mod6)の数字を60あたりまで並べてみます。
5,11,17,23,29,35,41,47,53,59,65
このうち5で割って余りが 0 と4の数を探します。
5と35と65が余り0、29と59が余り4です。
※mod5だとぱっと見で適合/不適合の判断が出来るため早いです。
5と65と29 は n≡3(mod4) の条件に反します。
35≡1(mod2)、35≡2(mod3)、35≡3(mod4)
59≡1(mod2)、59≡2(mod3)、59≡3(mod4)
となり条件に合致しています。
よって
n=60m+35‥‥②
n=60m+59‥‥③
nは1から1000までの数ですから
①は m=0~15の16個
②は m=0~16の17個
③は m=0~15の16個
16+17+16=49個
よって 答えは49個となります。
以上が解答となります。
割とベーシックな解法と思いますが、他に面白い解法がありましたら是非コメント欄でお知らせ頂けましたら。
我が家の学習事例が少しでも家庭学習に取組む皆様の御参考になりましたら望外の喜びです。
ではまた!
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