さて、表題の件です。
今回の記事も出来るだけ平易な表現、言葉で書かせて頂きます。
平易にしたせいで、少し冗長になってしまったかもしれません。。。。
本記事は1回目で触れなかった産業用ロボットにおける技術動向についてお話させて頂きます。
ロボットが今どんな問題を抱えていて、それに対してどんな課題を見つけて、どうやってその課題を解決していくのか?
こんな話題ですね。
産業用ロボットが抱える問題点とそれを解決するための技術動向
産業用ロボットはとても便利な機械です。
しかし、世の中には完璧な機械は未だありません。
様々な問題点を抱えていてます。問題点は沢山ありますが、全て書くと大変な長文になってしまうため、具体例を一つ挙げてみますね。
例えば以下のような問題があります。
問題点 大きな場所が必要になる、人と一緒に働けない
大きな力を持っているロボットが暴走して暴れ出す事がある。その時に人がケガをしないように動物園の猛獣のように鉄の柵で周囲を覆う必要がある。
鉄の柵でロボットが動ける範囲全てを覆わないといけないので、すごく大きな場所が必要になるんですね。
人間が作業する場合は狭い部屋で良いのに、ロボットが同じ作業をすると大きな部屋が必要になるという事です。
工場というのはお金をかけて建設しています。
お金をかけて建設しているので、工場の部屋には部屋代としてお金がかかるのです。
人間だと狭い部屋で良いので、部屋代は安く済みますが、ロボットだと非常に大きな部屋になり、部屋代が高くなってしまうという事です。
また、ロボットは鉄の柵で覆われています。人はその柵の中に入る事が出来ません。
つまり、人とロボットは近くで一緒に働けないという事ですね。
問題を解決するための課題
ロボットが暴走しないようにするのは非常に難しいのです。
例えば、ロボットを動かしている部品が突然壊れたり、停電で電力を失った場合に暴走します。
狭い部屋の中で人とロボットが働けるようにするための課題としては、例えば以下のものが挙げられます。
ロボットが暴走しても、人がケガをしないようにする。
この課題をクリアーするためのアイデアを色々なエンジニアが考えています。
課題の解決案
課題の解決案としては色々なものが考えられます。
その解決案の一つが 【協働ロボット】 と呼ばれるロボットです。
色々な安全機能をロボットに追加する事で人と一緒に働く事が出来るようになったロボットを協働ロボット(協働=協力して一緒に働く)と言います。
少し難しいですが、【ISO規格】という沢山の国が決めた規則があり、そこに安全に関する決まり事が書かれています。
具体的には「ISO 10218-1」と「ISO/TS 15066」に示されています。
ちょっと子供が読むには難しい資料ですが、【安全】について考える事はとっても大事な事なんですよ。
ISO規格が協働ロボットに求めている条件は以下の4つが挙げられます。
- 安全適合の監視停止
- ハンドガイド
- 速度及び間隔の監視
- 本質的設計及び制御による動力及び力の制御
そうですね。意味が分かりませんよね(笑)
簡単な言葉で説明しますね。
□安全適合の監視停止
ロボットが自分の周りをセンサーで常に確認して、人が近くに来たら、停止しなさい。
人が遠くに行ったら動いて良いよ。
こんな機能をロボットにつけなさい という規格です。
□ハンドガイド
ハンドガイドというのは分かり易く言うと、人間がロボットを操作するためのコントローラーです。
Switchやプレイステーションのコントローラーみたいなものです。
このコントローラーにロボットを停止させるための
非常停止ボタン
イネーブルスイッチ
を付けなさいというのが規格です。
イネーブルスイッチというものはとてもユニークな商品です。
人間の行動を分析して、作られたとても面白い商品なんですよ。
次のような人間の行動に基づいて考えられたスイッチです。
■人間はリラックスしている時は手をギュっと強く握らない
ゲームでキャラクターを動かす必要が無い時はコントローラを強く握りしめたりしませんよね?
人間は【操作しよう!】と思っていない時は力を出さないという事です。
■人間は何かを操作したい時はボタンを適度な力で押す。
ゲームでキャラクターを動かす時は 十字キーやボタンを軽く押し込んで動かすでしょう?
操作をしたい時は適度な力でボタンを押し込むという性質が人間にはあります。
■人が危ない!と思った時は、手を強く握りしめるか手を離す
ゲームで敵が急に襲い掛かってきた時を思い浮かべて下さい。
コントローラーを強く握りしめませんか?
あるいは、コントローラーを離してしまったりしませんか?
人間は恐怖を感じたり、驚いた時はこのような動きをします。
このような人間の性質を利用したのがイネーブルスイッチです。
人間が安全を確認して、「動かしたい!」と思っている時は、適度な力でボタンを押し込んでいる時だから、その時しか動かないようにしよう!
という事ですね。
適度な力でボタンを押し込んでいる時は動き、それ以外の時は停止するというスイッチの事を イネーブルスイッチ と言います。
□速度および間隔の監視
これは簡単です。
中学受験生に分かり易い言葉で言えば 旅人算です。
人間とロボットの速さと距離をチェックして、安全を保てる距離以下になったら止まりなさい!
という事です。
人間がロボットに向かって走っていき、ロボットも人間に向かって走っていくと、近づく速さは 人間の速さ+ロボットの速さ になりますよね。これを【相対的な速さ】と言います。
また、【安全な距離】というのはロボットと人間が出会うまでにロボットが停止出来る距離の事です。
ロボットも停止するまでに時間がかかりますからね!
すると【相対的な速さ】が大きいと 【安全な距離】は長くなり
【相対的な速さ】が小さいと 【安全な距離】は短くなります。
つまり、安全を確保するためには
ロボットの速さ
人間の速さ
ロボットと人間の距離
の3つをチェックする必要があるので、ちゃんとチェックしなさいよ!
という規格です。
□本質的設計または制御による動力および力の制限
【動力】というのは漢字の意味そのままですね。ロボットを動かすための力 の事です。
ロボットは凄く大きな力を出す事が出来ます。
でも作業によっては大きな力を出す必要はありませんよね?
人間も 重い荷物を持つときは大きな力を出しますが、軽い荷物の時は小さな力しか出しません。
だからロボットが出す必要がある力も作業によって異なります。
作業毎にロボットが出す必要がある力を決めて、それ以上の力を出してしまったら、すぐに止まりなさい! という機能ですね。
例えば軽い荷物を運んでいる時に、人間にぶつかったり、テーブルにぶつかったりしたら、予定よりも大きな力がロボットに発生します。その時は停止しなさいよ~
という事ですね。
協働ロボットの問題点
さて、めでたく狭い場所で人間と一緒に働けるようになった協働ロボット君。
ふふふ・・・もう完璧よ。
私のパーフェクトな設計によって、協働ロボットは世界を支配するわ。
なんてことはありません(笑)
協働ロボットは上に挙げたような【安全】に関する決まり事が沢山あるロボットです。
この決まり事が作業の邪魔になる場合が沢山あるんですね。
例えば とても高速な作業をさせる場合は 上で挙げたような【安全な距離】の確保が難しいため、柵が無いと作業出来なかったりします。
このような高速作業ロボットの場合、【安全な距離】がとても長くなってしまうので、協働ロボットを使っても、柵で覆うのとあまり変わらない【大きな部屋】が必要になります。
このように協働ロボットには高速作業に使うのが難しいという問題があります。
でも、こうやってまた新しい問題点と課題が出てきて、それを解決するためのアイデアを出して、新しい技術を創り出す というのがエンジニアの面白いところです。
このようなエンジニア達の弛まぬ努力、工夫によってロボットが活躍出来る場所はどんどん広がっています。
【目的】と【手段】を分けて考えてみよう
これは、お医者様の手術を支援するロボットです。
アメリカの企業が開発した商品で 偉人、レオナルド・ダ・ヴィンチから名前を拝借し、【ダビンチ】という名前がついています。
ダビンチは世界で約7500台、日本では570台くらい導入されています。
医療で人を助けたい!
このような思いを抱いている方には是非、【医者】【看護師】【薬剤師】といった道だけでなく、【医療機器の開発】という道もある事をしって頂けると大変嬉しく思います。
日本でも HINOTORI という機械が開発されています。
メディカロイドという企業で開発された商品です。
医療だけでなく、様々な業種でエンジニアのニーズが高まっています。
法務をサポートするAIソフトウェア
漁業をサポートする機械
農業をサポートする機械
色々なところでエンジニアの技術が活かされています。
医者や弁護士や農家や漁師を目指すなといっている訳ではありませんよ!
医療で人を助けたい
法律で人を助けたい
農業で人を助けたい
漁業で人を助けたい
これは【目的】ですね。
そのための【手段】が 医師になること、弁護士になること、農家になること、漁師になること です。
だけど、もっと多角的な視点(いろいろなところから物事をみる)とエンジニアになる というのも【目的】を達成するための【手段】になります。
このような【多角的な視点】を身に付けるためには、色々な事を知り、経験する事が大切です。
これは【目的】じゃなくて【手段】だから、違う方法もあるはずだよな。こんな視点を持って欲しいと思っています。
算数の問題で言えば
問題を解く という【目的】達成のための【手段】は沢山ありますよね。色々な解き方があるという意味です。
上に挙げた【協働ロボット】も 狭い場所で働く、人と一緒に仕事をする という【目的】を達成するための【手段】を沢山のエンジニアが考えています。
お医者様も 人の心と体を癒す という【目的】を達成するために、【医療技術】だけではなく、【道徳】や【コミュニケーション】など色々な【手段】を使っています。
こんな風に色々な物事を【目的】と【手段】に分けて考える癖をつけてみてはどうでしょうか?
A地点からB地点に行く という【目的】達成のためには
歩く、走る、自転車に乗る、バスに乗る など 様々な【手段】があります。
Sharari-manは 算数道場の生徒やMusuko と 【目的】を達成するための【手段】を一緒に沢山考えて遊んでいます。
この【目的】を達成するためにはどんな【手段】があるかな?
コレもいいし・・・アレもいいな・・・・
こんな風に考える事が【楽しい】と思えるようになったら、どんな仕事をしても楽しむ事が出来ると思います。
ぜひ、考える事を楽しんでみて下さいね。
さて、長くなってしまいましたので、Sharari-manが注目している技術、今後の展望などについては次回に回したいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
子供達みんなの成長を願っています。
是非、親御様も子供達の成長を喜び、誰かと比べる事無く、我が子が昨日より成長した点を見つけて褒めてあげて下さいね。
小さければ小さい点ほど良いものです。
子供からすれば、「こんなところもちゃんと見てくれているんだ」
と思うものです。
我が家の学習事例が少しでも家庭学習に取組む皆様の御参考になりましたら望外の喜びです。
ではまた!
コメント【コメント非公開、メールでの返信を御希望される方はその旨をご記入下さい】