さて、表題の件です。
Sharari-manが持つ稀有な経験として挙げられるのは、子供と大人を同時進行で指導している事です。
子供には算数道場で算国理社+数学の指導を実施しています。
大人には業務を通じて機械工学、制御工学、マーケティング、マネジメントなどを指導しています。
どちらも難しいのですが、私個人の感想としては「大人の指導」の方が難しいと感じています。
不燃性の大人の指導の方が難しい理由
いくつか理由がありますので順番に挙げていきます。
前提条件
大人全員を指す訳ではなく、大人の中で「不燃性の大人」を指導する時 という意味合いです。
大人に学習習慣を身に付けさせるのが大変だから
30歳以上で学習習慣が身に付いていない大人を指導するのは本当に大変です。
「30歳を超えるまで暮らしてこれた」という実績が危機感を失わせます。
また日本の一般的な企業では解雇される恐れが殆ど無い事も、危機感を失わせる一因となっています。
学習の必要性を説明するなど、あらゆるモチベーション向上対策を実施しても全く響かない場合があります。
貴重な工数は全てテレビやネットサーフィンやオンラインゲームに注ぎこみ、自己成長に投資しません。
「才能のせい」「環境のせい」などと、努力をしない自分を正当化するための口実を探します。
このような方に「学習習慣」を身に付けさせ、成長させるというのは本当に大変です。
稲盛氏の言うところの「不燃性の人材」です。
Sharari-manの場合、このような「不燃性の人材」を前にしても諦めずに「学習習慣を身に付けさせるための努力」をするのですが、中々に大変であるというのが本音です。
プライドが邪魔をするから
30歳以上の方は曲がりなりにも今まで仕事が出来てきたという実績があるため、妙にプライドの高い方がいらっしゃいます。
能力が高い訳でも無く、顕著な実績がある訳でもないのにプライドが高い方がいらっしゃいます。
例えば以下のような例があります。
■相手の意見の良いところではなく、悪いところだけを探し、指摘する。
悪いところを指摘出来る自分を凄いと思っている。
■自分の意見を正しいと盲信し、正当化するための情報だけを収集する。
例えば、「**は正しい」というバイアスのかかった検索をかけて、正当化する意見だけを収集する。
バイアスのかかった検索手法を取れば、バイアスのかかった結果だけが集まります。
■自分は能力が高いから、人より学習時間が短くても結果を出せると信じている
何となく30歳を超えるまで暮らしてこれたのは自分が人より要領が良いからだと盲信している。
実際は周囲の強力なサポートがあったから結果を出せている場合が多い
かなり優秀な方でも実際は周囲のサポートがあって実力を発揮出来ている場合が殆どです。
当然ながら私も一人で会社を運営している訳ではありません。
多くの方のサポートを受けているからこそ、業務を進める事が出来ています。
このように自分の事を冷静に俯瞰し、出来る事/出来ない事を分析する事が「謙虚さ」に表れるのではないかと考えています。
謙虚になりなさい!
謙虚になるためには自分が出来る事/出来ない事を分析し、明確にする必要があります。
分析するうちに【自分が出来ない事】をしている方の凄さが理解出来ますし、「この方から学びを得よう」と思えるのではないかと思います。
時間が無いから
本当は時間はあるのです。
以下の記事に示すように自分で時間を作れば良いのです。
ところが大人になると、なぜか優先順位が 仕事 < 趣味・その他 な方が増えます。
普通に考えれば、仕事を失えば社会貢献・生活の維持が出来なくなるため、仕事があっての家庭、仕事があっての趣味な訳です。
仕事をしなければ、社会貢献(社会の維持)や家庭生活や趣味の継続が出来ません。
しかしながら、そんな当たり前の事にすら目を背け、継続して学習を続けられない方が大勢おります。
このように、指導しているエンジニアの方の中にも「時間が無い」という盾を構え、頑なに学習に取組まない方がいらっしゃいます。
このような方を指導するのは非常に難しいと感じております。
**という学習方法で学習に継続的に取り組む事でエンジニアとして成長出来るから、少しずつ取組むと良いですよ。
そんな時間はありません!
プライベートが忙しいんです!
組織に属する皆が協力して学習を進めないと、社会貢献をしながら、継続して収入を得る事は難しいですよ。
会社がつぶれたら、転職すれば私は困りません。
社会貢献にも興味がありません。
私が何もしなくても社会は継続しますし、仮に会社が潰れてもどうでも良いです。
とまぁ、このような方もいらっしゃるというのが事実ではあります。
Sharari-manは諦めない
このような「不燃性の人材」を育成するというのは大変時間効率が悪く、結果が伴わない事も多いのが実情です。
稲盛氏の意見は以下のようです。
「不燃性の人材は育成を諦め放逐する」
程度によるかと思いますが、稲盛氏は放逐する方針です。
企業を効率良く運営しようと思うと仕方の無い部分もあります。
不燃性の人材を根気強く教育した場合の時間効率は本当に悪いですからね。
しかしながら、Sharari-manの場合はあまり自身の時間効率を気にせず、「この方にももっと幸せになって欲しいなぁ」という思いで教育を実施しております。
なーにも学習をせず40歳、50歳になって、何も出来ない自分に気付き、途方に暮れている方を大勢見てきました。
社会に出てからも「学習習慣」さえ身に付けていれば、大抵の困難は何とかなるものです。
会社が潰れても容易に再就職出来ます。
プライベートで困難があっても、合理的に対処出来ます。
業務やプライベートで関わった方には出来るだけの支援を提供して、皆でハッピーになりたいなぁ
と考えております。
ボトムアップは社会貢献への寄与率も高いですしね。
子供達はどうなの?
上に挙げたようなプライドで凝り固まった大人と比較すると、非常に与しやすいと考えております。
ワガママがあったり、気持ちの浮き沈みがあったりは当然しますが、「可愛いものだなぁ」というのがSharari-manの感想です。
今のところ、道場生それぞれの「楽しさ」を上手く刺激してやる事で「自学自習に対するモチベーション」を上手くコントロール出来ておりますし、皆楽しそうに学習出来ていると感じます。
成績が低迷している子供達は?
道場には大手塾の模試や全統小で成績の低いお子様はいません。
スモールステップで個別最適を図った学習方法が功を奏しているものだと考えております。
モチベーション管理が上手く出来ている事も一因ですね。
ある塾の塾生で成績が低迷しているお子様を指導をする機会がありました。
具体的には全統小の算数偏差値が30程度のお子様です。
n=1 の1事例と考えて頂ければと思いますが、このお子様は以下のような症状でした。
計算が非常に遅く、不正確
分数の概念を理解出来ていない
算数が嫌い、楽しくない
このような状態でしたから、対策としては以下のようです。
1.算数の楽しさを伝える事、算数を好きになってもらう事
2.計算速度を向上させる事、正確性を高める事
3.分数、割合、比を繰り返し学習し、概念を定着させる事
この3つに重点的に取り組みました。
この取組によって、約半年後の全統小において、偏差値60以上に到達する事が出来ました。
全統小は 計算が早く、基本的な概念の理解 が出来ていれば偏差値50は容易です。
これは大手塾の一般的な模試(難関中向けの模試ではないモノ)でも同様です。
よって偏差値が30~40程度で低迷しているお子様は 「計算の速度と正確性、基本概念の理解」 だけに絞って、繰り返し反復学習をすれば良い という提案です。
通塾でこのような学習が可能であれば、それでも良いですし、難しいようでしたら家庭学習のみに変更するというのも一案でしょう。
中学受験においては「計算が早くて正確」というのは強力な武器になります。
整数問題、数列の問題ではゴリ押しで答えを算出する事も出来ます。
という事で Sharari-manが提案する成績低迷中のお子様に対する施策としては以下の内容となっております。
- 算数を好きになってもらう。楽しさを感じてもらう。
- 計算を正確に早く出来るようにする
- 基本概念を繰り返し反復学習する(分数、割合、比、数列など)
さすがに本訓練だけでは難関中の冠模には太刀打ち出来ません。
しかしながら、全統小や日能研偏差値40~50程度の中学の問題であれば、ある程度の得点率が可能です。
例えば、日能研R4偏差値 50 である桐光学園中学の過去問【算数】を見てみましょう。
以下 桐光学園2023年第一回過去問 算数より引用
(http://www.toko.ed.jp/high/exam/past.html)
大問1
1)87×91+87×109
4)400枚の重さが1200gの紙があります。この紙720枚の重さは□gです。
5)81の約数は全部で□個です。
大問2
1)42人のクラスで食堂メニューのアンケートをとりました。フライドポテトが好きな人は32人、メロンパンが好きな人は30人でした。フライドポテトもメロンパンも好きではないと答えた人が6人以下だったとき、フライドポテトとメロンパンの両方とも好きと答えた人は最も多くて□人になります。
大問3
4つの数字1,2,3,4を使って出来る3けたの整数を、次のように小さい順に左から並べます。
111、112、113、113、121、122、123、124、131、・・・144、211、・・・444
このとき、次の問いに答えなさい
1)左から数えて15番目の整数を答えなさい。
2)333は左から数えて何番目の整数ですか。
3)3の倍数は全部で何個ありますか。
引用終わり
さて、桐光学園2023年度第一回の合格最低点は 290/500 となっております。
得点率で58%です。
高い計算精度と速度、基本問題の理解だけに注力しておけば、58%以上の得点が可能な内容のように見受けられます。
我が家の学習スタイルの例で言えば・・・・・
一定の計算速度+教科書ぴったりトレーニング中3 までを完了していれば、充分に58%の得点率が可能だと考えます。
お子様の現在の実力を丁寧に分析し、最適なカリキュラムを構築する事で効率良く能力を伸ばす事が出来ると考えております。
ぜひ、楽しく取り組んでみて頂ければと思います。
私は諦めの悪い親よ!!!!
子供の成長を諦めないわ!!
胸を張ってこう言えるように、一緒に頑張ってみませんか?
Sharari-manは諦めません。
あとがき
さて、何故本記事を書いたかと申しますと「大人に対する指導経験」が「子供の指導」に活きているのではないかと考えたからです。
「不燃性の大人」の指導は本当に難しく、観察・分析をした上で、様々な工夫をこらす必要があります。
長年にわたる「不燃性の大人」に対する指導を通じて得た、「諦めない」というマインドが「子供の指導」に対して好影響を与えているのではないかと考えております。
不燃性とはいえ、本当に全く燃えない人はいないと考えており、あの手この手で火をつける努力を致します。
着火さえ出来れば、火を維持するのは意外と簡単なものです。
子供の指導においても着火するまでに苦労はありますが、不燃性の大人に比べると、着火点は低いように思います。
小中学生の親御様でしたら部下の一人や二人いる場合が多いのではないかと思います。
部下の指導経験は子育てに活かせると思います。
「モチベーションを高め、維持する」という点においては学業指導も業務指導も同じだからです。
業務、プライベートの両方で貴重な指導経験を積ませて頂けているのは非常に有難く感じています。
特に、算数道場については得体のしれないSharari-manという偏屈な爺さんに対して、大切なお子様を預けて下さっている事に対し、感謝の念に堪えません。
さて、本記事では大人の指導の方が難しく感じるという私見を述べさせて頂きました。
しかしながら、「子供の指導が簡単である」という事を述べたい訳ではありません。
子供の指導も非常に難しいと感じます。
両方難しいのですが、「不燃性の大人」の指導が最も難しく感じるという意見で御座います。
Sharari-manにとってはどちらの指導も「楽しい案件」である事に変わりはありませんので、今後ともより一層指導に力をいれていきたいと考えております。
やっぱりね、指導したエンジニアが良い製品をリリースすると、自分の事のように嬉しくなります。
今、算数道場で指導している子供達が将来立派な製品を作ったり、社会貢献をしている姿を見たら、きっと泣いてしまいますね(笑)
そのような姿を見る事を楽しみに、今後も細々と地方で社会貢献を続けて参りたいと思います。
我が家の学習事例が少しでも家庭学習に取組む皆様の御参考になりましたら望外の喜びです。
ではまた!
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