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中学受験に役立つ合同式の知識

Sharari-man

さて、本文の前に帰国の御報告です。
ようやく帰ってまいりました!
また記事の更新を再開したいと思いますので宜しくお願い致します。

さて、表題の件です。

合同式を利用すると中学受験算数に出題される整数問題の多くが簡単に解けます。

高校数学の範囲ですが、意外と簡単であり、かつ非常に有用な技術です。

難関中学受験生の方は是非身に付けておきたいテクニックだと思います。

一橋大学の整数問題を題材にして少し解説してみましょう。

(1)n^3+1が3で割り切れる自然数 n を全て求めよ。

まずは基本的な合同式の性質をおさらいです。

目次

合同式の基本性質 おさらい

1. 合同式の和

a≡b, c≡d  のとき,a+c≡b+d

が成り立ちます。合同式は足し算する事が出来ます。

例えば,mod 3 においては

10≡1(mod3)
8≡2(mod3)
となりますから,それぞれを足し算して

(10+8)≡ (1+2) (mod3)
⇒18≡3(mod3)
⇒18≡0(mod3)

となり10+8は3で割り切れるという事が分かります。

中学受験算数でありそうな例題)
296296296 は 3 で割り切る事が出来ます。
この数字に1~20の数字のいずれかを足して3で割ってみました。
すると、いくつかの数字は3で割り切る事が出来ました。
3で割り切れた時に足した数字を全て挙げなさい。

解答)
合同式の和 の性質を知っていれば一瞬で解く事が出来ますね。
296296296は3で割り切れるのだから
296296296≡0 (mod3) です。
よって割り切れるためには
296296926+(1~20のいずれか)≡0 (mod3)

になれば良い。

よって、1~20の中で3で割り切れる数字を探せば良い。
すると
3,6,9,12,15,18
が答えとなる事が分かる。

この程度であれば、和の性質を熟知していなくても、3の倍数を足せば3で割り切れる事が直感的に分かりますけどね。

2. 合同式の差

a≡b,c≡d のとき,a−c≡b−d

が成り立ちます。

3. 合同式の積

a≡b,c≡d のとき,ac≡bd

が成り立ちます。

また ac≡bc  です。

中学受験算数でありそうな例題1)
Aは2桁の整数で,A×Aを13で割ると1余ります。このようなAは全部で□個あります。

解答)
A^2≡1 (mod13)
A≡±1(mod13)

ですから、13で割って±1余る2桁の整数を列挙して終わりです。
ここで-1の余りというのは余り12と同義です。

よって小さい順に考えると
12≡-1 (mod13)
14≡1(mod13)

です。全て挙げるためには、それぞれ13ずつ足していけば良い。
12、25、38、51、64、77、90
14、27、40、53、66、79、92
よって 14個 が答えになります。


中学受験算数でありそうな例題2)
Aは2桁の整数で,A×Aを15で割ると1余ります。このようなAは全部で□個あります。

解答)
同じ問題だと思えるかもしれませんが、少し味わい深い問題となっています。
A^2≡1 (mod15)
A≡±1(mod15)

これに加えて
A≡±4(mod15) の場合を見落としてはなりません。
A≡±4(mod15) は2乗すれば
A^2≡16(mod15) となりますから
A^2≡16(mod15) ⇒ A^2≡1 (mod15) と表せます。

よって求めるべき2桁の整数は

11≡-4(mod15)
14≡-1(mod15)
16≡ 1(mod15)
19≡ 4(mod15)
に対してそれぞれ15ずつ足していった数となります。

14,29,44,59,74,89
16,31,46,61,76,91
11,26,41,56,71,86
19,34,49,64,79,94

の24個が答えになります。

4. 合同式の商

ab≡ac で,a と n が互いに素なら b≡c が成り立ちます。
合同式の両辺を a で割って良いのは,a と n が互いに素である場合のみです。

割り算は a と n が互いに素という条件がつきますから注意が必要です。
中学受験では合同式の割算を利用した問題は少ないと思いますが。。。。

中学受験算数でありそうな例題)
Aは2桁の整数です。

A×6を17で割ると12余ります。このようなAは□個あります。

6A≡12(mod17)

解答)

互いに素な数であれば割算して良いので、以下のように変形出来ます。

A≡2(mod17) 

よって17で割ると2余る2桁の数となりますから

19、36、53、70、87 の 5個 となります。

一橋大学の問題

(1)n^3+1が3で割り切れる自然数 n を全て求めよ。

割り切れるという事ですから以下のようにあらわせます。

n^3+1 ≡ 0 (mod3)

和の性質を使えば分離して考える事が出来ますから

1≡1(mod3)より

n^3≡2(mod3)の時に割り切れる事が分かります。

場合分けして考えるのが最も良いでしょう。

n≡0(mod3)の場合
n^3≡0(mod3)となり異なる

n≡1(mod3)の場合
n^3≡1(mod3)となり異なる
n≡2(mod3)の場合
n^3≡2×2×2(mod3)
⇒2×2×2=8は3で割れる。8÷3の余りは2

よって
n^3≡2(mod3)

となります。

以上の事から nは3で割ると2余る自然数という事です。

kを整数とすると

n=3k+2

となります。ここで注意点としては kの条件 です。

nは自然数 ですから kは0を含みます。よって正しい解答としては

n=3k+2 (kは0以上の整数)

となります。

あとがき

さて、合同式は意外と理解しやすいため、難関中学受験に向けて算数の学習をしているお子様でしたら、理解する事が出来ると思います。

中学受験算数で頻出の整数問題に対して非常に強力な武器になりますし、整数に対する深い理解に繋がる項目です。

是非、親子で一緒に学んでみて下さい。

慣れてくれば、上に示したような一橋大学など難関大学の整数問題を解いてみても良いでしょう。

「大学受験の問題が解けた!」 とお子様のモチベーション向上に繋がる事もあるでしょう。

Sharari-man

高校数学で学ぶ知識があれば、高速で解ける問題が受験算数では多くあります。

Sharari-man

「ユークリッドの互除法を利用した不定方程式の特殊解導出」なども有用なテクニックです。

Sharari-man

一方、数学を進めているお子様が受験算数で苦しむのは平面、立体図形ですね。

Sharari-man

三角関数、ベクトルなどを用いた数学的な手法で解けない問題はありませんが、非常に時間がかかる場合が多いです。
よって、中学~高校数学では割と手薄になっている、初等幾何を利用した解法に習熟する必要があります。

Sharari-man

とはいえ、「中学~高校数学を学ぶ事に対するデメリット」というものはSharari-manは無いと考えております。
どうせ、中学進学以降に学びますからね。

我が家の学習事例が少しでも家庭学習に取組む皆様の御参考になりましたら望外の喜びです。

ではまた!

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この記事を書いた人

日本で働く技術者です。
ブログ運営目的は我が家の学習情報提供を通じた社会貢献です。
地域貢献を兼ねて地域限定で算数の個別指導を行っています。

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