本記事では県内のトップ高校が提示している学習カリキュラムと進学実績について私見を述べます。
数学学習のカリキュラムは変更が実施され、令和4年入学以降の高校生は新カリキュラムとなっています。
変更点の主要なポイントは以下の通りです。
■数Cが復活
Cが復活し、ベクトル・曲線・複素数平面などがCに移行される。
■新課程 データの分析 が追加
統計関連です。仮説・検定も実施するようです。
■数Aから整数の性質が消える
新課程である「数学と人間の活動」に移行
■コンピューターサイエンスの活用を重視
現代の実態に沿った学習をするという事ですね。
プログラミングやITリテラシーに関する教育はもっと積極的に実施して良いと思います。
理系の大学入試範囲は殆ど変化が無いと思います。統計が追加になるくらいですかね。
文系は全般的に範囲が広がる感じですね。
誤解がないように最初に述べておきます。
私は学歴至上主義者ではありません。
長い人生の中で学歴差別を行った事はありません。
息子の進学先も好きな事が学べればどこでも良い
と考えています。
県中部のトップ公立高校
静岡高校のカリキュラム
今までのカリキュラムに加えて数Cが増加しており、厳しいカリキュラムになっています。
先取りを進めていない方、学習習慣が身に付いていない方は授業に付いていくだけで一苦労でしょう。
県西部のトップ公立高校
浜松北高校のカリキュラム【数学のみ抜粋】
静岡高校とは若干異なります。
高校二年生までに数学の範囲学習を終えて高校三年は演習のみというカリキュラムです。
恐らく高校三年生はセンター試験や二次試験の過去問演習が中心でしょう。
関西トップ公立高校
北野高校のカリキュラム
北野高校様は詳細なカリキュラムを公開されており大変参考になります。
高校2年生でチャート式の数Ⅲ演習まで進めるようです。
こちらも大変進度が早いと言えます。
カリキュラムに対するSharari-manの私見
このカリキュラム通りにしっかりと学習を進める事が出来れば充分難関大学が狙える学力が身に付くと思います。
数学と英語は高校2年生までに範囲学習を終えて高校3年生は過去問演習に取り組むのが重要です。
注意点もあります。以下のようです。
- 大変早く進むカリキュラムですが、それでも鉄緑会や大手進学予備校のカリキュラムよりはかなり遅い進度である
カリキュラム通りに進めても難関大学が狙える ようにはなるが 鉄緑会のように難関大学に余裕で合格 というレベルには届かない。そのレベルに到達するためには家庭学習や予備校学習が必須です。 - 高校入学までに家庭学習習慣を身に付けていないお子様は付いていくのが困難
県内では難関中学がそもそも無く、国立の入学試験も平易です。
また、高校入試も平易なため、学習習慣がしっかり身に付いているお子様は少ない場合が多い。
【学習習慣がしっかりの定義】
平日毎日2時間~程度の学習に取組める。
休日・テスト前・受験期に8時間を超える長時間学習に取組める。
ちなみにこれらは難関中学の受験生は小学生の時点で身に付けているスキルです。
静岡高校、浜松北高校は 静岡県内ではトップ校です。
しかし、高校入学時点での有名中高一貫校の生徒との学力差は非常に大きいと考えて間違いありません。
これは他県の難関中学と県内附属中学の入学試験の問題を比較・確認して頂ければ御納得頂けると思います。
この差を埋めるために、学校では高速で学習を進め、大量の宿題を課す形になっております。
しかし、このカリキュラムに付いて行く事が出来ないお子様が多いと推定されます。
浪人率が高く、進学大学の偏差値の標準偏差が大きい事からも明らかです。
各県のトップ校との合格実績比較
例えば 2010年~2020年の期間における
卒業生数に対する 旧帝 + 国立医学部の合格実績(浪人含む)を調べると以下のようです。
【注意】学校の発表資料に基づいております。浪人 or 現役の表示が無い年もあるため、浪人を含んだデータかどうかは信憑性がやや低い
客観的に分析すると以下のようです。
静岡県のトップ公立高校は愛知、大阪のトップ公立高校に比べると合格実績がやや劣る
静岡県のトップ公立高校は最難関私立に比べると合格実績は大幅に劣る
浜松北は近年進学実績を伸ばしてきておりますが、それでも難関私立や北野高校などとの実績差は非常に大きい。
特に灘高校や洛南高校や開成高校などのトップ校の進学実績は圧倒的です。
静岡県の合格実績が劣る理由に関する私見
トップ高校には各県のトップ層のみが集まります。
しかしながら、中学受験の有無、各地域の教育熱の差により、入学時点での学力差は非常に大きいものがあります。
■入学時点での学力差が非常に大きい
■進学に強い大手予備校が少なく、学校任せの教育である
■学習習慣が充分でない
■旧帝大が県内に無く、教育熱が他県と比較するとやや低い
■地方特有の 地方冠大学 > 旧帝 という意識がある
■地方特有の 県内トップ高校 > 旧帝 という意識がある
■静岡高校、浜松北 高校に入るだけで難関大学に合格出来ると思っている(情報格差がある)
入学時点での学力差が非常に大きい
これは大阪、愛知と比較すると顕著ですね。
これらは中学受験が盛んな地域ですから、小学生時代から高度な教育が受けられる事が多いです。
トップ公立高校の子供達も難関私立向けの塾に通う事が多いです。
つまり教育環境の差によって学力格差が生まれていると言えます。
また、大阪の北野高校では 公立高校入試が 大阪C問題と呼ばれるやや難易度の高い問題になっています。
この問題を解くための学習が高校に入ってからの学習に活きている部分もあるかと思います。
子供達の才能に大きな差は無いと考えています。
学習環境の差がこの格差を生み出していると考えています。
また、小学生時代の環境の差は 学習習慣を身に付ける時期の差に繋がります。
進学に強い大手予備校が少なく、学校任せの教育である
静岡県は本当に大手予備校が少なく、トップ公立高校でも多くが学校教育に任されているという認識です。
大学受験 という カテゴリーにおいては 予備校の力は非常に大きいものです。
大阪には 鉄緑会 があります。
愛知も 大手予備校が多いです。
例えば静岡在住の方は理解して頂けると思いますが、「小~中学生に高度な教育を受けさせたい」と考え検討すると、選択肢の少なさにがっかりしてしまいます。
これは高校向けの予備校も同じで 他県に比べてかなり選択肢が少ないと言えます。
正直な意見を申し上げると学校教育だけで難関大学に合格する学力を身に付けるのは以下の理由で難しいのです。
- 予備校と違い 教え方に対する相性が悪い先生に当たっても変更出来ない。
例えば相性が悪く大嫌いな数学教師に当たった場合、気軽に聞きに行けますか? - 個別に必要な授業を選択出来る予備校と違い、全教科大量の宿題が課される。
- 周囲の学生も同じペースで学習が進んでいるため、県外のトップ校の進度が見え難い
以上の事から
難関大志望の場合は学校教育任せよりも 家庭学習 or 予備校 の方が効率良く学習可能である。
そしてそれは鉄緑会などの合格実績に表れている。
というのが Sharari-man の主張です。
学習習慣が充分でない
これは上でも述べましたが中学受験が盛んではない地域ですので、小中学生から高校生レベルの学習習慣を身に付けているお子様は確実に少ないと考えております。
【学習習慣がしっかりの定義】
平日毎日2時間~程度の学習に取組める。
休日・テスト前・受験期に8時間を超える長時間学習に取組める。
ちなみにこれらは難関中学の受験生は小学生の時点で身に付けているスキルです。
教育熱が他県と比較するとやや低い
気を悪くなさらないで下さいね。
他県と比較して平均値を取れば という意味です。
当然中には教育熱の高い方もいらっしゃる事は存じております。
私もそうですし、知人にも沢山いらっしゃいます。
静岡高校、浜松北 高校に入るだけで難関大学に合格出来ると思っている
(情報格差がある)
以前に運営していたブログに以下のような問い合わせが良くきました。
「難関大を目指しているため、浜松北高校に合格したいのですが、どうすれば良いですか?」
「附属中に合格したいのですが、どうすれば良いですか?」
しっかり情報収集をされている方であれば
どの学校に行くかは問題ではなく、しっかりした学習習慣を身に付け、一人で学び進める力を身に付けてさえいれば、どんな学校に進学しても難関大学に合格出来る。
県内の公立進学校は宿題が多すぎて、「1人で学び進める力」を既に身に付けているお子様にとっては 学校が枷になるケースもままある。
という事がすぐに御理解頂けると思います。
圧倒的な合格実績を誇る 灘中学や筑駒や開成中学では 「東大 or 医学部」に行くのが当たり前という雰囲気があるようですから、周囲環境の影響を受けて勉強をする方が多いとは思います。
しかし、このような環境に左右される能力というのを私は好みません。
社会に出てから重要なのは 「環境がどうあれ、1人で学び進める力」 だと考えているからです。
よって私は問い合わせを受けると
真面目な生徒が多い、県内の中高一貫校に入って 家庭学習をするか予備校あるいは個別指導塾に入れて 先取り学習を進めた方が効率良く難関大学に合格出来ると思いますよ!
とお返事をさせて頂いております。
しかしながら、殆どの場合
話にならないわ!
トップ公立高校に入れた方が良いにきまっているじゃない!!
とお叱りを受けてしまいます。
中々御理解して頂くのは難しいものだなと、いつも悩んでいる次第で御座います。
職業柄、開成高校や灘高校などから東大に進学された方とお話する機会も多いです。
彼らもやはり 学校の授業だけで学習を進めていた訳ではなく、予備校や家庭学習がメインです。
結局のところ、必要な時間に個人差はあるものの、学習量を積みさえすれば、実力は身に付きます。
要は学習習慣を身に付けてコツコツ学習を進める事がとても大事だという主張です。
最後に
静岡県内の進学状況は以上のようです。
県内にも家庭学習を頑張っておられる御家庭は沢山御座います。
難関大学を目指すお子様、家庭学習に取組みたいお子様、機械設計など高度な学問に小~中学から取り組みたいお子様、そんなお子様の親御様に対して、少しでも参考になればと思い記事を執筆しております。
よって学歴差別を推奨するものでは全くありません。
例えば、私はエンジニアとして活動する中で中卒・高卒・大卒など学歴で差別する事は無く、分け隔てなく技術指導をしてまいりました。
中卒・高卒でもしっかりとした学習カリキュラムを提示し、指導すれば優秀なエンジニアに成長する方も沢山おられました。私が最も尊敬しているエンジニアは高卒の方です。
その経験から中卒~高卒というカテゴリーに括り人を判断する事はしません。とても愚かな行為だと考えています。
一人で学び進める力 を身に付けてさえいれば、学歴など関係無く、社会で素晴らしい功績を残し、社会貢献・地域貢献を通じて皆の笑顔を作る事が出来ると考えています。
静岡県内でも 小学生・中学生の間から 積極的に家庭学習に取組まれる御家庭が増えて、「一人で学び進める力」を身に付けられる環境のお子様が増える事を願っています。
我が家の学習事例が少しでも家庭学習に取組む皆様の御参考になりましたら望外の喜びです。
ではまた!
ではまた!
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