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エンジニアについて 応用編

2023.10.6 加筆修正
2023.10.7 加筆修正・誤記訂正

さて、本記事ではエンジニアの業務について説明させて頂きます。

具体例として工作機械 というテーマで書いてみようかと思います。

下のリンクは本記事の前編です。

興味のある方は御覧下さい。

目次

工作機械とは

あまり目にする機会が少ないかもしれませんが、あなたが現在所有しているほぼ全ての製品に何かしらの形で関わっているのが工作機械です。

例えばスマートフォン、自動車、家電、家具など工作機械と関わりの無い製品を探す方が難しいでしょう。

工作機械を大別すれば以下の3種類です。

本記事ではこのうち、主に「切削型の工作機械」というカテゴリーについて深掘りしてみようと思います。

切削型工作機械(除去型)

動画を見た方が分かり易いと思います。

DMG森精機様の商品紹介動画です。

このように素材を削るタイプの機械を切削型工作機械と呼びます。

この動画の商品は ISOでは 「複合加工機」と規定されている商品です。

旋盤主軸、マシニングセンタ主軸、自動工具交換装置 を備えた工作機械です。

成形型工作機械

こちらは金型に溶融した樹脂を流し込み、成型するタイプの工作機械です。

日本でしたら芝浦機械様(旧東芝機械)が有名ですね。

付加型工作機械

近年目覚ましい進歩を遂げている分野です。

AM(additive manufacturing)と呼ばれます。

動画のように、溶融した金属を吹き付け 素材に【付加】したのちに除去加工によって所要の精度に仕上げます。

形状の自由度が高い事を活かした、複雑な形状の部品制作に適しています。
また、補修(部品の修理)用途にも適した工作機械です。

近年目覚ましい進化を遂げていますが、未だ価格が高い事がネックとなり販売数は少なくなっています。
安価な機種でも1億円を超え、かつ用途も限定的なため中々投資対象になり難い機械となっています。

基礎研究の例

基礎研究とは簡単に言えば、根源的な知識の探求、「なぜそうなるのか?」「それは何なのか?」を解明するための研究です。
建前上、「特定の製品、特定の機能を明確にした研究ではない」というように言われますが、意外とグレーです。

ある商品で利用する事をイメージした上で進める 基礎研究 も当然あります。

切削型工作機械に関連する基礎研究の例としては以下のようなものが挙げられます。

なぜ削れるのか?

切削という現象はなぜ起こるのか?
なぜ、刃物と素材を接触させると切削という現象が発生するのかについて解き明かす研究です。

身近な例で言えば、「ハサミという道具を使って、紙を切りますが、紙を切るという現象はどういうものなのか?」
というイメージです。

なぜ摩耗するのか?

切削という行為を行うと、刃物は摩耗していきます。
この摩耗という現象は何なのか?
なぜ発生するのか?

というものを解き明かす研究です。

応用研究の例

応用研究とは基礎研究で得た知見を基に明確な利用目的を決めた上で進める研究です。
ある商品に適用するための研究、ある機能を実現させるための研究などです。

上に挙げた基礎研究を基に実施される応用研究例について挙げてみます。

なぜ削れるのか? ⇒ どうすれば良く削れるのか?

基礎研究では 「なぜ削れるのか?」 を研究し、「なぜ削れるのか?」「削るという現象は何なのか?」について解き明かされました。

では、それを製品化に繋げるためには、「より良く削れる刃物とは?」について研究する必要があります。

このように「よく削れる刃物」の条件を探すための研究が応用研究です。

実際のところ、既に製品が世の中にリリースされているものに関しては、基礎研究~応用研究のカテゴリー分けは非常に曖昧です。

基礎~応用~製品開発までを一気通貫で実施する場合もありますし、明確にカテゴリー分けされていない事の方が多いかもしれません。

開発研究の例

さて、応用研究により【どうすれば良く削れるのか】が解明されました。

【良く】とは例えば、精度良く、工具寿命が良く、という意味合いです。

応用研究によって、切削時の刃物の振動を抑制する事で 精度良く、工具寿命が良く 切削出来るという事が分かりました。

この振動を抑制するための研究が開発研究にあたります。

具体的な例で言えば、日本発の技術で有名ですが、【再生型びびり振動の抑制】というものがあります。

現代の研究者で言えば、名古屋大学の社本教授、中央大学の鈴木教授が有名です。

この研究によって 【びびり振動を抑制する技術】 が開発され、オークマ社、DMG社などの機械に搭載されています。

製品開発

さて、製品開発です。

工作機械(産業機械)の場合においては 開発研究~製品開発までをエンジニアが担う事が多いように思います。

Sharari-manの場合は特殊でして、基礎研究~製品開発~組立~営業 まで一通り経験しております。

これは私のポリシーに関係しておりまして、以下のようです。

士としてエンジニアに就くものは 研究~販売におけるサプライチェーン全体を知り、全体最適を意識した研究開発を行うべきである。

研究、製品開発、組立、販売までを理解していないと、サプライチェーンの最適化が困難です。

士として、若者を導き、企業活動を通じた社会貢献をするためには、このような能力が必要だと考えております。

さて、製品開発の話に戻りましょう。

製品開発は研究と異なり、広く浅い知識が要求されます。

顧客の求める製品を調査する

4P分析、AIDMA、3C、PEST分析などのフレームワークを用いても良いでしょう。
要は顧客が求める商品を適切な価格、適切な場所、適切なタイミングで販売する事が大事です。

製品企画をする

■顧客の求める機能を満たすために必要な要件を定義する。
販売網の構築、サービス網の構築なども含みます。

■原価試算をする。
原価試算にあたり、部品のコスト算出、組立コスト算出、販売コスト算出を開発者が実施する必要があります。
この原価試算には広範な知識が必要不可欠です。

製品設計をする

製品設計には製図の知識だけでなく機械要素、部品加工、組み立て技術など広範な知見が必要です。
例)
マシニングセンタの時間チャージは?
旋盤加工で真円度はどれくらい出る?
ネジを締めるとどれくらい歪む?
円筒度0.003mm 表面粗さRz0.4 この精度が出せる機械は?
EMC試験を通すためには?
デュアルチェックセーフティは?
必要なスキャンタイムは?
加減速カーブは?変形正弦?台形?
採用言語は? ラダー?C+?

メカ系の知見、制御系の知見、評価の知見など本当に様々な知見が必要になります。
それだけでなく 【サプライヤーとの交渉】【流通網の調査(コンテナサイズなど)】【市場毎のニーズの違いを見極めたオプション設定】など一見設計と関わりが無いように見える事まで学ぶ必要があります。

この広範過ぎる守備範囲が製品開発エンジニアの苦しいところです。

組み立てる

工作機械で言えば すり合わせ(キサゲ)という作業が必要になります。その他にも様々な組立技法が用いられます。

例)
ネジの締め方(トルク、締める順番など)
配線、配管の養生方法
測定・調整手法(テコ式ダイヤルゲージ、オートコリメーター、R-test、DBBなど)
現合合わせ(現合ノックピン、現合はめあい、選択組合せ法)

などこのような特殊な組立技術についても熟知しておかなければ製品設計、組立作業が出来ません。

販売する

販売するためにも色々な知見が必要です。

例)
どうやって梱包するか?
どうやって輸送するか?(トラックのサイズは?コンテナのサイズは?)
完成した商品をどこにどのように保管するか?(倉庫は?)
どうやって販売するか?(直販リース?商社?販社?)
海外販売に際して法令は?税金は?

これらの輸送、保管、販売に関する知見もエンジニアには必要です。

例えば何も考えずに設計した場合、機械が巨大になりすぎ、トラックで運べない、コンテナに入らないなどのトラブルが発生します。
海外販売に際しては欧州ならISO規格、CEへの対応が求められますし、中国であればGB規格など各国の法令、基準に対応した製品開発が必要になります。
このような【販売する】という行為に対して必要な知見も多く存在します。これらについてもエンジニアは深く学ぶ必要があります。

サービスする

機械の修理やメンテナンスを実行する事をアフターサービスと言います。
アフターサービスを考慮した製品設計は大変重要です。

B to B 商品の場合、機械の停止はお客様にとって生産高減、利益減に直結するからです。

壊れにくい、壊れてもすぐに修理出来る という事を考慮した製品開発のためには、サービス関連の知識も必要です。
フェールセーフ、フールプルーフなど、様々な知見を取り入れ、製品開発に盛り込む必要があります。

このように製品開発カテゴリーは必要な知見が広範な事が特徴です。

業種によって異なりますが、おおよそのイメージとしては以下のようです。

基礎研究:狭く、超深く
応用研究:広く、深く
開発研究:狭く、深く
製品開発:超広く、浅く

例外は当然あり、基礎研究でも広く学ぶ必要がある場合もあります。製品開発でも狭くて良い場合もあります。

念のために書いておきますが、どの分野が楽という事ではありません。

結局のところ、知識という物は 広さ×深さ になりますから、どの分野においても必要な知識量は大差ないと考えて頂ければよいでしょう。

エンジニアの仕事を学ぶ方法が少ない

意外に思われるかもしれませんが、研究の手法、製品開発の手法、販売の手法は企業や研究機関によって異なります。

研究に関しては極端に異なるケースは少ないですが、細かな作法はやはり異なるように思います。

製品開発に関しては本当に一品一葉という感じです。
会社によって開発スタイルは全く異なるといっても過言ではありません。

研究に関して言えば 大学院、博士課程などで以下のようなベーシックな知識・技術は得られると思います。

実験計画の立て方
実験メモの取り方
実験のやり方
論文の書き方
発表の仕方(プレゼン・学会発表)

それでも細かな作法は企業によって異なりますから、書籍などで学べるわけではありません。

製品開発については体系的に製品開発が学べる実践的な図書は私の知る限りありません。
一般論的な概要だけが書いてある本はありますよ。本記事に示したような流れだけが記載された書籍です。

ですが、概要だけでなく、もっと突っ込んだ 研究方法~コスト試算の手法~販売手法までの実践的な内容が体系的に記された書籍は見た事がありません。

もしあったとしたら、10000ページを超える大作になるでしょう(笑)

中学受験で言う 【予習シリーズ】 のように 
■その書籍シリーズで学べば研究が出来るようになる
■その書籍シリーズで学べば製品開発が出来るようになる
という類の書籍はありませんから、企業に勤めながら、様々な分野の知見を得るために、少しずつ学習し、知見を蓄積していく必要があります。

違いが少なそうに見える【研究分野】というカテゴリーでも同業他社に転職したら「作法」が異なり、やはり半年程度は苦労した という話も良く聞きます。
汎用的な知見は使いまわしが効きますが、企業特有の「研究の作法」は入社してからしか学べないというのが実情ですかね。

エンジニアは楽しい

さて、私はエンジニアという職業に誇りを持っておりますし、大変楽しい職であると考えています。

本記事では工作機械の例を挙げましたが、ボイラ、発電所、圧延機、医療機器、色々な製品を開発しましたが、どれも楽しい仕事で御座いました。

医療関係においては 手術支援ロボットである ダヴィンチやヒノトリ に関連した製品にも携わりました。

医療機器業界はやや特殊です。部品の形状も特殊なものが多いです。

インプラント系でしたら アバットメント、ボーンプレート、ボーンスクリューなど面白い形状の部品が多くあります。

ボーンスクリューは骨の接合手術などに使用されるネジです。
吸収性体内固定ネジと呼ばれる、加水分解して除去手術が不要になるネジ・プレートもあります。
こういった機能を求められるのは医療業界に限られるように思います。
ストライカー社の部品について私が関わった事も多くありますね。

内視鏡関連の機械も面白いものが多いです。
軟性内視鏡、硬性内視鏡と色々な製品があります。内視鏡関連機器では日本ではオリンパス様が有名ですね。

このように医療、航空宇宙、工作機械、インフラなどエンジニアが必要とされている業界は多種多様です。

Okusama

「エンジニア」という職種の対象範囲広すぎるでしょう(笑)

Sharari-man

その通りです(笑)
「私はエンジニアです」と言われても、何をやってる人か全く分かりません(笑)

Sharari-man

上に挙げたような幅広い職があるのがエンジニアの特徴です。
工学・理学といった基礎的な学問をしっかりと学んでおけば、将来様々な職業を選択する事が出来ます。

Sharari-man

エンジニアで医療系に就きたい方は医療機器の開発でしたら、特に医師免許は必要ありませんので、医療に関わる事が可能です。

Sharari-man

誰かを治療してあげたい。
医療の役に立ちたい。
そういう想いを持っている方は 医師という選択も良いですが、医療機器の開発エンジニア という選択も良いのではないかと思います。

あとがき

応用編 と銘打ちましたが、実質 基礎~中級編 程度の内容になってしまいましたね。

応用編を書くにはブログ記事では短すぎるようです。

興味がある方がいるようでしたら、もう少し突っ込んだ内容も書いてみようかと思いますので、コメント頂けましたら。

本記事がエンジニアという仕事に興味を持つきっかけになれば大変嬉しく思います。

我が家の学習事例が少しでも家庭学習に取組む皆様の御参考になりましたら望外の喜びです。

てはまた!

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この記事を書いた人

日本で働く技術者です。
ブログ運営目的は我が家の学習情報提供を通じた社会貢献です。
地域貢献を兼ねて地域限定で算数の個別指導を行っています。

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