さて、本記事は機械開発と物理の楽しさを伝えるために執筆した記事です。
物理は計算ばかりでつまらないよ・・・・・
と考えておられる方が多いのではないかと思います。
恐らく、それは実際に物理を応用した仕事に就いていない方ではないかと思います。
例えば材料力学で考えてみましょう。
いわゆる
- 片持ち梁
- 両端固定梁
をについて考えてみましょう。
そんなの簡単だよ!!
と思われた方、今、現実の世界で
どのような状態が 自由で
どのような状態が 支持で
どのような状態が 固定
なのか?
説明出来ますか?
梁の剛性に対して、充分に接合部の剛性が高ければ固定とみなせるでしょう。
逆に全く剛性がない物体であれば、例え繋がっていたとしても自由と同義です。
では 充分に剛性が高い状態 とは?
それはエンジニアそれぞれが 機械に求められる性能を元に 充分かどうかを 判断するのです。
あるいは、これは自由と固定の間だと判断し、適切な係数を乗じます。
これは非常に単純な例ですが、実際に機械を開発・設計する場合、複雑な物理現象が相互に絡み合います。
それらの影響因子を全て含めた式を立てる事は大変困難です。
よって
このファクターは寄与度が低いから計算を省くようにしよう
という判断をエンジニアがする必要があります。
この判断が大変難しい部分です。
例えば 歯車・ボールネジ・軸受けなどの機械要素部品 単体であれば、実験と検証を繰り返し、物理演算式の正確性を検証出来るでしょう。
しかし、少し複雑な機械(例えば自転車レベル)になると 途端に凄まじく難易度があがります。
全ての影響因子を含めると膨大な計算量になりますし、その正確性の検証も大変困難です。
という事で、多少皆様の不安を煽ってしまう事になるかもしれませんが、世の中にある機械は 完璧な物理計算によって産み出されている訳ではなく、エンジニアの仮説によって大部分の計算が省かれた状態で生産されています。
自動車も自転車も身の回りにある全ての機械がそうです。
ただし、人命に関わる部分に関しては、例え物理計算式の立式が困難だったとしても、多くの実証実験によって強度・剛性を保証するという手法で設計されています。
自転車・自動車という昔からある機械でも、完璧な物理計算が出来ていないという事です。
日夜エンジニア達は物理計算式を考案し、実際にモノを作らなくても検証が出来る状態を構築するための努力をしています。
なぜなら実証実験に頼っている状態は
開発速度が遅くなる
使用条件全てのパターンの検証が困難
といった問題があるからです。
さて、ここで多少知識のある方は
有限要素法解析で計算すれば良いのでは?
などと思われるかもしれません。
結合部のパラメーターはどうしましょう?
機械効率は?
摩擦係数は?
溶接効率は?
想定外力は?
パラメトリック励振は?
これらは実証実験を積み、同定(コリレーション)しなければ算出が困難です。
Sharari-manの主張まとめ
■物理は計算するだけの学問ではない
■何より難しいのは今起きている現象を正しく把握する事
■想像力が要求される学問であり、それが楽しい点でもある
■エンジニアは日夜 良く分からない現象と戦い、理論的に分析出来るように努力をしている。
生物などの医学分野や量子の世界も奥深いですが、まだまだ古典物理の世界も楽しめる要素(未解明な部分)が沢山あります。
優秀な学生達から医学部だけでなく、工学部を志す方が増えると嬉しいですね。
エンジニアも努力をすれば多額の収入を得る事も出来ます。
仕事内容もとても楽しいですよ。
我が家の学習事例が少しでも家庭学習に取組む皆様の御参考になりましたら望外の喜びです。
ではまた!
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